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7日目(2000/1/1)

遂にここ南極の地でも(といってもアルゼンチン時間で、ということだけけれど)2000年の元日を迎えた。今、午前5時半ぐらい。相変わらずほとんど白夜状態のため、既にかなり明るい。

2000年の元旦を南極で迎えようと99年2月に計画して以来10ヶ月あまり経った今、こうして無事計画を遂行、実現できたことを素直に嬉しく思う。ここで都合よく発表、今年のテーマは有言実行です。(嘘

昨夜のディナーは特にゴージャスだった。メインの前にシャンパンに入ったシャーベットが出てきたり。しかしそれよりも面白かったのが、同席したテーブルの会話。創造の理由、インターネットの是非、などなど。とにかく聞いているだけで面白い。議論が白熱して?途中おばさん一人怒って出て行っちゃったり(戻って来たけど)。それと王さんが折った折鶴にそのおばさんがこれまたアホのように(失礼!でもアメリカ人ってよく死にそうに爆笑するよね)狂気乱舞する姿がかなりわらえた。僕はワイン3杯飲んでた酔いの勢いもあって終始笑ってた気がする。

でも、その後のパーティには出ず、部屋に戻って第九のMDを聴きながら寝た。だって、今自分が南極にいるのだという事実に既にかなり満足してしまっている以上、もう2000年になる瞬間をどう迎えるかなんてどうでもよくなっちゃってたんだな。酔いがまわっていたのは事実だけれど。

今日最初の上陸(Neko Harbor)から帰ってきた。 Vavilovとペンギン

予定では9時半上陸予定だったのが急遽変更になり、なんと朝の7時半に。シャワーを浴びてるときにそんな放送があったもんだから、髪も乾かないままに準備をしてZodiacに乗船。場所は昨日と同じNeko Harbor。昨日昼寝していたアザラシは今日は起きてて、頭や背中をかくしぐさを見せてくれたり、鳴き声?も聞かせてくれた。短い時間の上陸ではあったけど、南極大陸に2000年一番乗りした最初の人間の一人になることができた。

実は今朝は6時過ぎには起きていて、第九の第四楽章を聴いたりしていたのだけれど、ぼんやり思ったのは、やはり転職しようということ、そして東京で暮らしてみようということ、それらの過程において経済的に完全な自立を図ろう、ということ。

宇宙開発に携わるという兼ねてからの希望を叶えている現状をあえて否定するかの行動に走るその動機は、とにかく今はもっとインターネットに関するスキルをより重点的に高めたいということ、宇宙や宇宙開発に対する知識不足という現状を踏まえ、中途半端なかたちで業務に携わるのではなしに今はとにかくそれらを吸収する時間が欲しいということ、もしまた宇宙開発に再び何等かのかたちで参加したいと考えたとしても、その時点までに自分なりの学習成果が引き出せるようになっていさえすれば、その希望はきっと叶えられると(これまでの約2年間の経験で)確信したこと、インターネットの世界は宇宙開発に比べ遥かに変化が激しく、少しでも早くその勉強に没頭していきたいこと、等。

東京で暮らすことの動機は、やはり自分の生活リズムを家族に一切、迷惑はもちろん影響も及ぼさないようにすること、通勤時間の短縮により本を読んだり音楽を聴きに行ったりする精神的余裕を得ること。また、経済的に自立することの意義は、まずは自分ひとりの力でかせいで生活していくことの大変さを身をもって学ぶこと(これについては始めるには26才という年齢はあまりにも遅過ぎるとの見方もできるだろう)、親に対して潜在的に存在する甘えを断ち切ること、等。

だいぶ思考は整理されてきたように思うけれど、結論はUshuaiaに帰るまでに出せればそれでいい。

今日2度目の上陸(Cuverville Island)から帰って来て、写真のキャプション付けを始めたのだけれど、少し疲れたし飽きてきたので日記を書く。

Brunchは予想に反しかなりこてこてなメニューだった。ビーフはかなり美味しかったけど。包丁で切ってもらうときにコックに「KOBE BEEF?」などと冗談言われたのは楽しかった。僕が日本人だって向こうは分かってるからね。

BrunchではPamelahさん、その旦那さんと同席。GPSやY2Kの話題。こういう話題だとそれなりに会話もできる、相手の英語の話し方が割合聞き取り易かったせいもあるけれど。やはり会話は内容次第、ということか。しかし英語力無いね。>オレ

2度目の上陸までかなり時間ができたので、同じ階のデッキに出て外をぼーっと眺め続けることにした。太陽はがんがんに照っているし、船は微速前進を続けており、風もそれほど強くない。しばらく素晴らしい眺望、美しい氷山が連続、写真も(デジカメではないほう)撮った。聴いていたMDはenya様のベスト盤である、当然。一歩間違えれば「思えば遠くに来たもんだ」by吉幾三が頭の中を流れそうになるのを必死でこらえる。(爆

美しい湾の景色

2度目の上陸はCuverville Islandである。上陸地点の浜辺の左右のルッカリーを訪れる。眺めは素晴らしいの一言。かなり高いところにもルッカリーがみえたが、制約上行けなかった。あんな高いところに住んだら餌を取りに行くだけでも一苦労ぢゃないかな。

1列縦隊?

この島でも目にしたのはジェンツーペンギンばかりだったけど、思い出ぶかいのは、巣の近くを通り過ぎるだけで突っ突かれまくる可哀想なペンギンと、5羽で1列縦隊を組んでひょこひょこ歩くペンギン。そうそう、浜辺にいたときに比較的近くの大きな流氷がかなりの(雷のような)重低音とともに自然崩壊のにはびっくりした。それほど高くは無いにせよ、波が岸辺にむかってきて、ツアーの係人にも「UP! UP!」と叫ばれたっけ。

帰りしな、Zodiacで流氷クルーズに参加するのに船が戻ってくるのを待っていたときに、浜辺にじっと座っていたら一羽のジェンツーが僕のすぐそば、30センチぐらいにまでひょこひょこ近付いてきたのは嬉しかったなぁ。今までの中で一番生ペンギンに近付けた瞬間だったよ。その後彼(彼女?)は丘の方へ行ってしまったけど、何に興味をひかれて寄って来たのかな。

流氷クルーズでは、流氷が絶えず溶けながら上下の逆転運動を続けていること、また水面上の表面でつい最近ひっくり返ったとかがわかるということを知った。

実は今は1月2日の朝だけれど、とにかく書きつづけよう。

今日3度目の上陸までまたしばらく時間ができたので、後部デッキにて音楽を聴きながら、またたまに風景の写真も撮りながら、ぼーっとしてた。本当に青と白の、見飽きない風景。写真はいくら撮っても撮り足りないので半ば諦めの?境地で必死に頭に覚えこませようと頑張る。しかしこんな美しい景色、ホントみんなに見せたいよね。みんなとは誰か?みんなはみんなです。(爆

ジェンツーのルッカリー

ついに3度目の上陸、いざPort Rockroyへ。ここでは2班に別れて行動した。僕の参加した班は先にジェンツーのルッカリーを訪れ、その後郵便局へ行くことに。先に着いた小島では鯨の骨も見れたし、激しく喧嘩するジェンツー、雛、昼寝するアザラシなんかを見ることができた。ペンギンの喧嘩はオス同士かというとそういうわけはなく、雌雄の見分けがつかない以上、何とも言えないらしい。

その後英国の博物館兼郵便局へ。中には2人の局員?がいて、切手はもちろんいろんな記念品を売っていた。僕は綺麗な台紙と消印を押してもらうための切手を買いこんだ。何を隠そう昔は切手を集めていた時期もあったので昔の血が騒ぐ。切手を貼るのに苦労したけれど、なんとかすべてに2000年元旦の消印をもらい、とっておきの土産を作ることができた。ほかにもピンバッジとステッカーを土産に買うと、おじさんステッカーを1枚おまけしてくれた。しかしこのおじさんの英語は訛が凄じく、いきなり英語通じなくて困った困った。

最後のZodiacで郵便局のある島を後にし、夕食を食べ、その後は写真のキャプション書きをしばらくしたけれど、やはり少し疲れてすぐ寝てしまった。

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