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Webアクセシビリティ、まず取り組むべきはカルチャーとプロセス

......てなことを最近、繰り返し考えているし、行く先々(何処)で口にしている気がします。少し前に、久しぶりにWebアクセシビリティ・ファーストのページを更新したのも、このカルチャーとプロセスが大事って話を追記したかったから。きっかけは、アクセシビリティ界隈の大家で例年きまってCSUN会場で見かけるKarl Groves氏のBlog記事、What happens when you get sued for your inaccessible website(意訳:非アクセシブルなWebサイトを理由に裁判を起こされたとき何が起こるか)。記事に出てくる見出しに、

You will never be successful in accessibility without fixing your culture and processes

というフレーズがあって、まさに「それな」と。数年来、Webアクセシビリティのリブランディングに(個人的な立場と会社的な立場を問わず)取り組んできたなかでも、組織のカルチャーとプロセスの両方をいかにして「Webアクセシビリティに前向きに」変革するかというのが、最大の課題でありかつ成功の鍵でもあるというのは、実感があります。両方とも、というのがまたポイントだと思っていて、

カルチャーがあってもプロセスがない場合
取り組みが属人的になりやすく、ちょっとした判断にもバラツキが生じ、アクセシビリティという品質を一定の幅に収斂させ続けることが困難。カルチャーがあれば、遅かれ早かれプロセスを作らんとする動きに繋がりがちとはいえ、一定の強制力なりお財布がないとそれはそれで(ry
プロセスがあってもカルチャーがない場合
「やらされている感」が組織を支配しがちで、ともすると簡単にプロセスが形骸化しがち。たとえプロセス自体の持続可能性が組織的に担保されていたとしても、プロセスそのものの定期/不定期な見直し、アップデートなんかは難しいかもしれない。

というのが個人的認識。どちらかと言えばカルチャーはボトムアップ、プロセスはトップダウンで形成するようなものだけれど、そこに明確な区分なり境界なく、DNAの二重螺旋よろしく相互補完的に機能し合うことが理想。そしてその両方にかかわるポジションなり人物(経営層とかWebサイト運用に関する決済権者とか?)がWebとは何か、アクセシビリティの意義とは何か、ちゃんと腹落ちしていることも大事。そんなわけでWAI-ARIAがどうのこうの、そういう技術的な詳細は後回しににしてでも、Webアクセシビリティに取り組むなら組織のカルチャーとプロセスにまず着目すべきだなぁと最近しみじみ思うわけです。まぁ、Webアクセシビリティに限ったお話でもないですけど。

[ 2017-05-12 追記 ] 「アクセシビリティに取り組むことが価値あるサービスづくりにつながる」サイバーエージェント技術者たちの取り組み | CyberAgent Developers Blog | サイバーエージェント デベロッパーズブログで、本記事を微妙に取り上げていただきました。サイバーエージェントのアクセシビリティおじさんこと@masuP9さん、言及ありがとうございます。

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