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Re: 年寄りを困らせる「レスポンシブWebデザイン」

少し前の記事ですが、日経BPコンサルティングスタッフルームに掲載された年寄りを困らせる「レスポンシブWebデザイン」を読んでの感想。確かに、レスポンシブWebデザイン(以下「RWD」)のユーザビリティ上の問題点について指摘はしているものの、その問題点は本当に高齢者に特有のものなのだろうか? そして、記事中で紹介されている東北大学の対応策は本当に利用者の使い勝手を考えてきちんと吟味し、改善策を実践した結果なのだろうか? などと疑問に思いました。

RWDを採用した場合、Webページがブラウザの拡大機能に反応してしまうとか、スマホでアクセスすると強制的にスマホ向けのレイアウトで表示されるのは、事実です。しかしいずれも、利用者が高齢者であろうとなかろうと同じ。結局のところ、記憶のなかにある慣れ親しんだレイアウトを頼りに、複数の異なるスクリーンサイズ間で自身の必要とする情報を探し求める利用者の誰もが直面する状況です。そういう意味では、統計的な情報を提供することなく、年寄りを困らせるなどとRWDの課題を殊更に高齢者と結びつける見出しには、強い違和感を抱きます。

そして、東北大学が採用したという「パソコン」と「スマホ」の切り替えボタンについて。確かに、利用者の利用するデバイスがその二種類に限定されている前提においては、極めて有効な対応策だったことでしょう。しかし、アクセスログ解析結果をお尋ねするまでもなく、そのような前提は無いはず。タブレットからのアクセスもそれなりにあると思いますし、となるとタブレットの人はどちらの表示を選ぶべきか?という話になります。近年では、そうしたデバイスの分類自体がますます意味をもたなくなってきているというのに(スマホもタブレットもPCもそれぞれに多様化した結果、明確な境界が消失している)。

この種の表示切り替えボタンに対する自分の考えは、昨年2月にRe: レスポンシブWebデザインのサイトに「デスクトップ表示」ボタンが必要な2つの理由という記事で書いた通り。Webページの見た目なりレイアウトというのは元来、(RWDであろうとなかろうと)紙と違ってさまざまに変化し得るものなのだという事実、またその柔軟さがWebの利点の一つでもあるという事実が社会全体に広く浸透していくなかで、必要性は今後下がるいっぽうではないかと思います。必要なのはそのようなボタンではなく、スクリーンの大小を問わずレイアウト上のギャップが最小化され、かつトーン&マナーの一貫したデザインではないでしょうか?少なくとも、特定のスクリーンサイズに限定してWebをデザインをする時代では、とっくに無いわけで。自分もまだまだ模索中の身ではありますが......。

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