Little Wing '94 本番フライト
雨こそ止んだものの風の状態は悪く、時折進行方向向かって左手からかなり強い風が吹いていました。それに合わせ、機体の方向もぎりぎりまで左手に向けての発進となりました。
自分の発した「3、2、1、GO。」のかけ声と共に、ペダリングを開始。あっという間に助走路を駆け抜け、琵琶湖上空高度10mの世界へ。フェアリングの先端部分の窓から、すごい勢いで水面が流れ、迫ってくるのが見えました。
コックピット部分はプラットフォームから飛び出し切ったな、と感じてすぐさまエレベーターをアップに操縦し、機首を上げようとしました。と同時に、いつも操縦する時は動かさずに支点にしていたひじが後方へ。おかしいな、と思った次の瞬間、操縦系が故障してしまったことを理解しました。
意外にも自分は冷静に、ワイヤーを直接手で引いてでも機首を上げようかなどと考えました。そうこうしているうちに、あっという間に琵琶湖の水面が目前に迫ってきました。激しい衝撃とともに体ごと前方に投げ出され、そして気がつけば自分はフレームにつかまって水面に浮きながらなぜか体は後方を向いていました。