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ミスマッチ 見えないユーザーを排除しない「インクルーシブ」なデザインへ

アクセシビリティ界隈では既に読んだ人が多いであろう2019年発売の『ミスマッチ 見えないユーザーを排除しない「インクルーシブ」なデザインへ』、自分もようやく......という感じで、某インタビューに備えたいという思いもあって読了。なるほど素晴らしい内容で、もっと早くに読まなかったことが微妙に悔やまれます。

テクノロジー業界の人々が、世界の人々を代表するサンプルとして「自分たち」を使っている

上記は、ジョン・マエダ氏による序文からの引用ですが、そのテクノロジー業界の片隅で生計を立てる一人として、上記の指摘はしっかり受け止めたいなと思いました。

慈善活動としてインクルージョンを扱えば、人々の分断を助長してしまう。単に正しい行動だから広がるべきだという考えは、たいていその発展をすぐさま妨げることになる。

正しさ駆動で顧客は動かせない、というのはSDGsみたいのがもてはやされたり、パーパス策定が企業のあいだで流行るより前からWebアクセシビリティの旗振りをやっていた立場として、身に覚えがあります。

インクルージョンの取り組みは決して終わらない。歯の手入れと同じようなものだ。ゴールはない。

歯の手入れと同じようなもの......良い喩えですね。まさしくゴールはなく、死ぬまで続けないといけない行為ですから。同じ論法で、歯の手入れと同じく、習慣化してしまえばどうということはない。組織に根付かせるって、そういうことだよなーと思いました。

身体が変化するにつれて、ミスマッチなデザインとの出会いも増える。それは単に、かつては機能していたデザインが人に合わせて変わらないからだ。

私がデジタルなコンテンツに魅力を感じてきた理由の一つには、物理的な有形物と異なり、人に合わせて変えることができる、変えやすいからというのがあって。セミナーでもよくお話する点ですが、低コストで比較的容易にフォーマットなりアウトプットをカスタマイズできるのって、すごい長所だと思います。

テクノロジーが生活のあらゆる領域に入り込むにつれて、排除がさらに蔓延する恐れがある。

ぼんやり、テクノロジーが普及すればするほど排除は減らせるなんて楽観的に考えていたけれど、これは重要な指摘。やっぱり継続的な教育なり啓発は欠かせないだろうし、油断をすれば負の影響とともに良からぬテクノロジーが普及してしまうんだろうなぁ。

アクセシビリティは性質であるのに対して、インクルーシブデザインは方法

基本的な点とはいえ、上記を本書で確認できたのは収穫。インクルーシブデザインという名のメソドロジーを通じて獲得し得る品質特性の1つがアクセシビリティ、という整理をしていたので......文脈によって多少、変わるところはあるにせよ。

統計的に、格差は成長に重大な悪影響を与え、格差を減らせば成長への回復力を高めることができるという山のような証拠がある。

Webなりデジタルの分野で、上記のいう「証拠」をなんとか積み上げていきたいところではありますが......引き合いに出されているThe Inclusive Growth and Development Report 2017の、デジタルコンテンツに特化した版がつくれたらいいのかな。

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