50歳からはじめる定年前退職
野口宇宙飛行士の新著、『宇宙飛行士・野口聡一の着陸哲学に学ぶ 50歳からはじめる定年前退職』を読みました。本書で初めて合同会社 未来圏を立ち上げてらしたのを知りましたが(遅い)、注目は何といっても、2022年5月に開かれた退職会見当時には語られなかった本音でしょう。
宇宙飛行士も人の子ですから、そりゃいろいろ前職場に不満はありました。上司との人間関係でも悩んでいたし、その中のいくつかのエピソードは本書でも触れています。
宇宙飛行士は皆さんどなたも素晴らしく優秀でいらっしゃると思いますけど、しかしスーパーマンなんかの類では決してないわけで、ある意味その事実を確認できてほっとしたというか(謎)。退職されて、しばらく時間を空けた今だからこそ書けたって感じでしょうか。
その不満の一例としてマイクロマネジメントを挙げてらしたのは、興味深いですね......それとは少し違った話になりますけど、いちいち書面に管理職のハンコがたくさん必要みたいな文化って今でも続いてるのかしら。私のNASDA時代の思い出話ですけど、「スタンプラリー」とか呼んでいたのが懐かしい。それはそれとして
「野口さんはいい大学を出て、ほんの一握りしかなれない宇宙飛行士になれて、引退しても当然、門戸はひらかれているだろう」という印象を持たれている方もいるかもしれません。
とお書きになってますが、まさしく私はそういう印象を持っていた一人であります!!上述のとおり「宇宙飛行士も人の子ですから」、年相応の苦心・苦悩はおありだとは思いますけど、超が付くほど有名人には違いないわけで、いち庶民からすると引く手数多だったのでは? などと勘繰ってしまいます。
後輩宇宙飛行士によって自身の記録が塗り替えられていくことへの残念さが本書には滲み出ていて、それにしたって行きたくても宇宙に行けない私からすれば、随分と贅沢な残念さだなーって僻んでしまいますからね(申し訳ありません)。
アメリカ人なんかは、40歳が人生の折り返し点と考える傾向がある。Over the Hillと言って40歳以降は下り坂、つまり若いころとは違うキャリア設計が必要と考えるきっかけ作りができる。
気になって調べてみたところ、アメリカ人の平均寿命は2022年時点で77.43歳。そういう意味では40歳で折り返すという感覚、しっかり実態と合ってますね。いかに日本では「人生100年時代」てフレーズがもてはやされているとはいえ、とっくに折り返し地点を過ぎたと私も思っています......織田信長(享年48歳)だったらとっくに死んでますから笑。