TIME OFF
著
この年末年始休暇中に読んだ一冊、『TIME OFF 働き方に"生産性"と"創造性"を取り戻す戦略的休息術』について。40代半ばから自分の働き方や人生を反省し、そして一昨年には16年続けた取締役を退任、同時に仕事量を半分にしていただいた、その判断は間違いではなかったと思える内容でした。
疲れ果てて燃え尽きるほどに、創造性も生産性もどんどん落ちる。だから焦って余計に長時間働く。そんな、悪循環にはまりっぱなし
20代から30代にかけてはまさに、そういう悪循環に自分もはまっていたように思います。若さゆえ身体は動くものだから、長時間働いても正直さほど辛くなかったし、いずれ量が質に転化するはずとの期待(勘違い笑)もあって。今思えば何の根拠もない、単なる思い込みに基づく猪突猛進でしかなかったなと......それも若さのいち形態ではあったでしょうが。
休むことを、仕事とは真逆のことだと思いがちだ。休んでいるか、しゃかりきに働いているか、どちらかしかないような気がしている
ワークライフバランスという言葉が死ぬほど嫌いになったのが、いつからのことだったか記憶にないのですが、仕事と人生というのは天秤にかける関係にはないと思っていて、なんとなく上記にそれと近い印象を受けます。休むことと働くことは、対立的というより補完的であり、むしろセットで考えるべきというか、不可分というか。
一つの夢だけ選んで、他の夢をあきらめるなど考えなくていい。すべて一緒に追いかければいいんだ。ひとつの夢を、他の夢の燃料にして。
ここは本書でいちばん刺激を受けたくだり。「二兎を追うものは一兎をも得ず」という諺に、縛られすぎていたかもしれません。Web開発と宇宙開発、この2軸(2夢?)を追いかけてきたつもりだけれど、どっちか一方しか選べないなんてことはきっとないし、むしろ積極的に両方を選ぶことで私個人のオリジナリティ、唯一性を生み出せるのだろうと、確信できました。
アクティブに体を動かすと、脳は影響を受け、その結果、クリエイティビティや生産性に良い影響をおよぼす。逆説的に聞こえるかもしれないが、そのような活動的な時間は、心の休息には必要不可欠だ。
身体を動かすことの重要性、痛いほどわかります。単に歳をとったからだけではなく、まさに思考能力を落とさないためには身体全体を動かさないといけないと、わかったから。運動は、筋力をつけるためだけのものではない。人格や粘り強さも向上させる
ともあって、その点も納得できます。結局のところ、肉体と精神は不可分なので。
4、5時間の睡眠で「大丈夫」だとは、どの科学的根拠をもってしても言い切れない。ただの神話なのだ。
あいたたた笑。別に睡眠時間の少なさを自慢するでも、それでマウントを取るでもないけど、自分の睡眠時間ってだいたい4〜5時間なのです。6時間睡眠が習慣になると癌リスクが40パーセント増加するとも言われる
ともあって、厳しいなぁ。もっと日中の時間を効率よく使いなさい、ということですね......いざとなれば睡眠を削ればいい、と長年考え行動してきたツケが回ってきました。
新しいニュース記事を常に追いかける必要もないし、新しい映画を全部見る必要もない。メッセージを受けとったからといって、すぐに返信する必要もない。自分の業界の動向を常に追う必要もない。こういうことをしていると、手っ取り早く、働いている気分になるのかもしれない。喜びさえ感じるかもしれない。
これも耳の痛い指摘。とくに最後の手っ取り早く、働いている気分になるのかもしれない
というのがね。とはいえ、業界全体の動向を俯瞰し、次のトレンドを把握する立場ではあるので、新しいニュース記事を常に追いかける必要
はあると思っていて。人間の脳は現代のテクノロジーが常に繰り出す情報量を想定してデザインされていない
点を踏まえ、バランスを取らないとね。
最後に......「高尚な余暇によって、文化を再構築せよ」に出てくるくだりで、「新しいものやより良いものをつくろうと」のところ、誤記のようです(「や」が1文字余計)。