@kazuhito
Kazuhito Kidachi's Personal Web Site Since 2000

Re: 村田真先生:ISOとフォーラム標準——日本の明日はどっちだ?

昨日、村田真先生:ISOとフォーラム標準——日本の明日はどっちだ?というオンラインセミナーが催されました。私はリアルタイム視聴しませんでしたが、YouTubeで録画が公開されているほか、イベントページからPowerPoint形式のスライドをダウンロードできます。

内容に関し、いろいろ思うところがありますが、特に以下のくだりについて個人的な見解を記しておこうと思います。

WCAG 2.2の勧告制定時に、木田氏(W3C日本語レイアウトタスクフォース議長)と私が日本・中国の会員とDAISYコンソーシアムに反対を呼びかけたが、反対した会員は少なかった。

木田氏が指摘された内容とは、達成基準 1.4.8ならびに1.4.12についてのものと認識しています。いずれも、WCAG 2.2で新規に追加されたわけではなく、前者は2.0から、後者は2.1から存在してきた達成基準です。従い、木田氏の指摘内容に一定の正当性が認められたとしても、WCAG 2.2の勧告を止めるべき合理的な理由とはなり得なかった、と私は思います。

もし仮に、達成基準1.4.8および1.4.12に何かしら変更を加えるとすれば、その影響はWCAG 2.2のみならず、2.0、2.1(つまりすべてのバージョンのWCAG2)に及びます。当然、JIS X 8341-3やISO/IEC 40500にも及ぶでしょう。それだけ影響が広範に及ぶような変更を、WCAG 2.2の勧告を止めてまで推し進めることが合理的かといえば、そうは思えないのです。

そもそも達成基準 1.4.12については、WCAG 2.1の勧告より前にもんどさんが登録したイシューに基づき既に一定の改善がなされているとも認識しています。従い、今から達成基準 1.4.8や1.4.12に関して今後何らかの対応を講ずるとすれば、その与えうる影響を勘案のうえ、正誤表(errata)の提供で対応するのが望ましいと考えており、その点ではAlastair Campbell氏のコメントに賛同していました。村田氏は、スライドの最後に

縦書きをきちんと扱うためのWCAG 2.2正誤表をW3C Accessibility Guidelines Working Group(AGWG)に提出することを計画している。

と記しており、正誤表で......という方向性それ自体には賛成ですが、通らなかったらW3C日本会員はFormal Objectionを提出してほしいとの提案については、あくまで提出された正誤表案の内容次第かと思います。

現在地:ホーム > 覚え書き > 月別アーカイブ > 2024年12月 > Re: 村田真先生:ISOとフォーラム標準——日本の明日はどっちだ?
Google カスタム検索を利用しています