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なぜ、マネジメントが壁に突き当たるのか

本日、覚え書きをする田坂広志先生の著書は『なぜ、マネジメントが壁に突き当たるのか 成長するマネジャー 12の心得』。社長の肩書きをいただいていた頃に読んでいたら、もしかしたらもっとずっとうまく振る舞えていたかもしれない......そんな気持ちになる本です。

問題を部分に分割したり、問題を単純化することなく、企業全体をその複雑性のままに理解する手法が求められるのです。

言葉や論理、はたまた要素還元主義に頼って企業を理解しようとすることの危険性を語っているくだり。複雑なものを無理やり単純化のうえ、わかった気になってはいけない、という警告です......企業が複雑系であるがゆえに。

複雑系としての性質を強める現在の企業においては、ひとたびある部門が「病む」と、その「病」が急速に全社に波及し、いわゆる「全体が病む」

企業が複雑系であればこそ、当然バタフライ効果の生ずる可能性がある、と。おそろしいことです。しかし逆もまた然りであって、ある部門が全社を一気に改善するような可能性もゼロではない、と思うと希望を感じます。

企業という複雑系においては、その問題群の循環構造を「全体像」として捉えることなく、任意の部分で切断し、直線論理として理解しようとすると、「矛盾」のごとく見える問題が現れてくる

時間軸でか部門単位でかはさておき、ある課題を切り出して云々する以上は矛盾は避けられない......そして「矛盾」とは「生きたシステム」の本質に他ならないからこそ、マネジメントの本質は、「矛盾」との対峙と言い切っていらっしゃる。このあたりの文脈が実に見事というか、若い頃の自分に何度も読ませたかったですね。

直感力や洞察力を持たず、ただ「細かさ」だけに目を奪われるとき、マネジャーは「瑣末主義」に陥る

これを読んだとき、過去に自分がマイクロマネジメントと批判されたことを思い出しました。言葉的には、粒度云々というより過干渉という意味合いで使われる「マイクロマネジメント」ですが、あれは地味に効いたなー。おそろしいことに、そういう自覚が全くなかったもので、ショックは大きかったです。

組織の中心に立つ人間が、メンバーの誰よりも強い「成長への意欲」を持っているならば、その組織には、黙っていても「メンバーを成長させる空気」が生まれてきます。

だいぶ「組織の中心に立つ人間」から退いている今でも、上記のくだりは信じて実践しているつもり。人生において「成功」は約束されていないしかし、人生において「成長」は、誰にも約束されているというのも、田坂先生の名言ですからね。死ぬまで成功ではなく成長を目指し続けよう。

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