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Jon von Tetzchner氏との対談記事が公開

予告していたとおり、Jon von Tetzchner氏との対談記事が公開されました(AI時代のWebブラウザから考えるWebアクセシビリティの本質 ――Vivaldiのアプローチから | gihyo.jp)。対談当日、つまり今年のGlobal Accessibility Awareness Day(GAAD)から2ヶ月近くも経ってしまい、ややタイミングを外した感は否めないのですけど、WebブラウザやWeb制作に興味・関心のある方には是非お読みいただきたい内容に仕上がっています。改めてVivaldi広報の壽さん、そして技術評論社の馮さんに深く感謝いたします。

Vivaldiはプライベートカンパニーなので投資家はいません。そのため、外部からのプレッシャーはありません。だからこそ、安全に、かつユーザの利便性を高められるAI活用についてじっくり考えていきたいと思っています。

上記は、今回の対談における個人的ハイライトのひとつ。プライベートカンパニーとして組織を維持しているのは、Opera Software時代の経験(「反省」と言ってもよいかもしれない)を踏まえてのことだと思いますが、VivaldiをVivaldiたらしめている極めて大きな要素と感じるのですね。株主資本主義に飲み込まれないための、一種の自衛策というか......それがどんな組織でも常に効果的に機能するとは限りませんけど、Vivaldiの場合はうまく機能してるんじゃないかしら。

ヨンさんが責任を持って意見を明確にし、発信している姿勢は素晴らしいと思います。

上記は私の言葉なんですが、Web3についてにしろFediverseにしろ、こうやって組織のトップ自ら意見を発信しているのは、本当に素晴らしいと思っていて。いわゆる「トップ広報」ってやつですけど、技術に対する造詣が深くユーモアのセンスも併せ持つTetzchner氏だからこそ、お手本のようなトップ広報を自然体でやってのけているのだと思います。懐かしい話ですが、Opera時代のOperaのTetzchner CEO、公約通り米国に向けて大西洋へ泳ぎ出したが......という逸話(伝説?)は、今でも記憶に残っています。

制作側のお仕着せではなく、ユーザ本位の、ユーザにとって真に見やすく使いやすいコンテンツを提供するよう、Webブラウザはブラウジング行為をもっと積極的に支援できるし、支援すべきだと考えています。

上記も私の言葉で、ある意味、今回の対談を通じTetzchner氏に最もぶつけてみたかった内容。結果、記事にあるとおり趣旨には賛同していただけたわけですけども、その領域における良い意味での競争をどう焚き付けていくかをこそ、本当は議論したかったなーという気がします。Web3だのAIだの、新たな技術を実装してはブラウザを売り込んでいくのって完全にプロダクトアウトなわけで、もっとこうマーケットインなやり方で競い合うよう、Webブラウザは成熟しても良い頃合いでは?みたいな思いが私にはあって。

誰もが自分にあった見え方でWebページを利用できるようになれば良いと思っています。

対談記事では敢えて「アクセシビリティオーバーレイ」という言葉は一切使わなかったのですけど、いわゆるオーバーレイが実現しているようなコンテンツのカスタマイズ/パーソナライズ機能はブラウザが担うべき、という方向性にも一定の賛同がTetzchner氏から得られたのは、嬉しかったです。今後それが実際に具現化するかどうかは未知数ですが......Vivaldiが取る進化の方向性の一つとして、是非採用していただけたらと願っています。

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