未来を予見する「5つの法則」
著
本日、覚え書きをする田坂広志先生の著書は『未来を予見する「5つの法則」~弁証法的思考で読む「次なる変化」~』。本書は、そのサブタイトルにあるとおり、弁証法の本。その哲学が教えてくれる世界の発展の法則として、以下の5つを紹介しています。
第一の法則 — 「螺旋的プロセス」による発展の法則
第二の法則 — 「否定の否定」による発展の法則
第三の法則 — 「量から質への転化」による発展の法則
第四の法則 — 「対立物の相互浸透」による発展の法則
第五の法則 — 「矛盾の止揚」による発展の法則
概ね、先生のほかの著書で読み知った内容が多く、従い復習という感じでさらっと読めました。
「不連続」(discontinuity)「非線形」(nonlinearity)「加速度」(acceleration)。この三つが、現代において、「未来予測」を極めて困難なものにしているのです。
実感がありすぎて同意しすぎて首がもげそう。
「進化」とは、単に「古いもの」が消え、「新しいもの」に置き換わることではない。昔からある「古いもの」と、新たに生まれてきた「新しいもの」が、共存し、共生し、棲み分けることによって、「世界の多様性」を高めていくプロセスなのです。
進化の本質が多様化、と言い切られたときには「えっ」ってなったけど、そのあとに続く上記のくだりを読むと一応納得はできます。消えたように見えるのは表面的な変化という記述もあって、となると「消えた」とは一体何をもってして「消えた」と表現できるのか、みたいな話もありそう。
本当に社会全体に広がり、浸透した後は、実は、そうした「キーワード」は、忘れられていくのです。
御意。自分の仕事に絡めて語るなら、Web標準というキーワードはだいぶ忘れられているけど、アクセシビリティはまだ忘れられているとは言い難い。つまり、まだ浸透しきっていないということ。
この社会に存在する様々な「矛盾」を前に、その「矛盾」と正対し、それを心の中に深く把持し、「割り切る」ことなく、その「矛盾」の止揚の道を求めて、格闘し続けること。
はい、修行中です!!
科学主義と資本主義そのものに問題があるのではない。その背後にある、世界をエゴの願望のままに操りたいという「操作主義」、その願望を投影した、世界が自由に操れる機械の如きものであって欲しいという「機械論的世界観」にこそ、問題の根源があるのです。
これまで自分、だいぶ資本主義を目の敵にし過ぎてきたかも、とちょっと反省。操作主義とは、かくも根深いものとはねえ。しかしこのあたりはまさに唯物論とか還元主義、あるいは主体と客体は分離可能かみたいな話も絡んでくる領域で、考えるだけで色々と刺激されるものがあります。