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仕事の報酬とは何か

本日、覚え書きをする田坂広志先生の著書は『仕事の報酬とは何か 人間成長をめざして』。本書も2008年の発売と、先生の著書のなかでは比較的、古い部類のもの。まず一つの気づきは

「報酬」というものには、二つの種類があるからです。一つは、「自ら求めて得るべき報酬」。一つは、「結果として与えられる報酬」。

という類別。その類別が存在する前提において、先生は本や雑誌が煽り立てる「キャリア・アップ」のブームの中で、我々は、無意識に、一つの「錯誤」に巻き込まれてしまいますと語ります。近年は、その手のブームは落ち着いてる気がするし、若い世代はむしろキャリア・アップから距離を取る傾向にあるという記事を見聞きすることがありますが。ともあれ、その錯誤とは:

「収入」や「地位」というものが、「結果として与えられる報酬」であることを忘れ、「自ら求めて得るべき報酬」であると考えてしまうのです。

最初読んだときは、あまり納得感がなくて、微妙に引っ掛かりを覚えたけれど......その後、言わんとしていることには腹落ちしました。代わりに「自ら求めて得るべき報酬」として先生が書かれているのが能力、仕事、成長という「目に見えない三つの報酬」。確かに、収入や地位のほうが遥かにその三つより可視化されやすく、ゆえに惹かれやすくもありますが。このあたりは

昨今、「腕を磨く」ということが、「手段」になってしまった。自分の商品価値を高め、給料や収入を高めるための「手段」になってしまった。

という嘆きを読むと、よりしっくりきました。あと、

「仕事の報酬は、仕事だ」これは、プロフェッショナルの世界では、しばしば語られる言葉です。そして、これは、素晴らしい言葉です。

仕事の報酬は仕事だ、かなり昔のことですが、本当に言われた記憶があります。当時は自分も若かったし、その意味はよくわかってなかったけど(「ふーんそういう考え方もあるのか」という感じで半ば聞き流していた)、四半世紀のあいだ社会人をやってきて、だいぶ理解できました。

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