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機嫌のデザイン

機嫌のデザイン——まわりに左右されないシンプルな考え方』を読みました。私はフォローしていないけれど、Twitterでフォロワーが11万人と大人気のプロダクトデザイナー・秋田道夫氏の著作です。自分で自分の機嫌を保つことの重要性やその方法論については、既に何冊か本を買って読んできたけれど、秋田氏の考え方に興味が湧いたので。どちらかというと機嫌云々よりデザイン論、仕事観みたいなものが参考になりました。以下、マーカーから厳選して引用:

何事につけ「期待するな」です。世間にも家族にも友人にもさらには自分にも。

いやあ徹底してますな。確かに期待しない......までも、期待値を下げまくることで機嫌は保ちやすいとは思うけれど、自分に対してすらとは。期待をしないことが、どことなく失礼かつ申し訳ないことのように感じていたのですが、改めたほうが良いのかな。そう言われてみれば内心、勝手に期待して勝手に裏切られ、みたいな一人相撲をよく取っているから。

世界が美しくあってほしいのならば、その景色の一部である自分からまず整える。

ここで書かれている景色というのは、自分自身の目にする景色ではなく、周囲の人から見た景色のこと。なるほどなあって感じました。主体と客体の捉え方に新鮮さを覚えたっていうか。自責か他責か、みたいな類別にも若干リンクする言い回しとして、とても興味深いです。「隗より始めよ」の別表現、に思えなくもない。

「愛着=執着」という図式があって相手に見返りを求めたり、依存へとつながったりしますよね。「これでないとダメ」と執着するのは、あまり健やかではありません。

執着とかべき論とかが一種の呪いであって、一利もないよって頭でわかっていても、なかなか心が伴わなかったりして、いつもそこで苦しんでいる気がします。確かに健やかではない、「あまり」どころか全然。やっぱり最初に引用した箇所にあるとおり、期待しないほうが合理的なんだろうな......執着とか依存を避けるうえでも。

今、世の中に飛び交う言葉の多くは、あまりにもタイムリー過ぎるように感じます。短期的瞬発的反応の応酬で、みんな疲れてはいないでしょうか。

御意。本当にそれはそう。パーパス経営やらステークホルダー資本主義なんかの文脈では、さも長期思考がもてはやされてる風の印象を受けてきたものの、身近なところでは真逆の短期思考な方向に突き進んでいる気がして仕方ない。社会・経済の変化のスピードがますます加速していて、それに引きずられて疲弊してる感。

「光よりも速く、宇宙の星に到達するものは何か」という話が好きなんです。——光より速いもの。なんでしょう。想像力です。

うーん、参りました。素敵。

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