メタバースとWeb3
著
ほしいものリストに突っ込んでてふと気づいたら値段が下がったので買って読んでみたものの、結論からすると not for me だったのが『メタバースとWeb3』。あらゆるトークはポジショントークである......てのを差し引いても、ちょっとこれは無いなーという感想。自身への投資を呼び込みたい動機は理解できますが、こうもフワッとした楽観論が続くと以下略。
今後、世界で起きる大きな変化——それは「バーチャルファースト」への移行です。
その移行プロセスが、しっかりアクセシビリティを織り込んだかたちで進む前提であればまだしも、現実はそうは映っていません。「バーチャル」という言葉の指し示す範囲もフワッとしてるけど、Web3はさておきメタバースはインクルーシブにデザインされつつあるとは思えない......。
ゆえに誰かが「勝者総取り」をする時代は終わりを迎えつつあります
とか、ともに豊かさを共創していくコミュニティへ変容しつつある
といった、いかにも耳障りの良い言葉は白々しく聞こえてしまうし、うすら寒い印象すら抱きます。無論、メタバースの可能性を否定するには時期尚早だとは思っていますし、超長期的には期待したいわけですが。
ビジネスサイドからみたインターネットの歴史は「中抜き」の歴史でした。今後はそれがさらに加速していきます。
これはある意味では同意できて、最近でいうとSpaceXのStarlinkに注目しています。宇宙ゴミとかそういう懸念はあれど、衛星コンステレーションを使った通信網が今後どんどん普及し価格が安くなっていくと、国内の通信事業者は地上設備もろとも相当ピンチなんじゃないかと。完全に不要になることはないかもしれないけれど......。
私は歴史の中で中央集権と非中央集権は行ったり来たりしながら、バランスを取るものだと思います。
これも同意できる見方。ただ、だからこそブロックチェーンだのNFTだのDAOなんかを一方的に持ち上げる気にはなれないし、持ち上げている風の主張には眉に唾をつけまくって接してるつもり。世のすべてが非中央集権でうまくいくなんてことは起こり得ないし、そうなる前に自然と一定程度、中央集権への揺り戻しが起こるのではないかしら。
DAOなどの新しい組織体、Web3が熱烈な支持を集める背景には、現在のインターネットに対する「強烈なアンチテーゼ」がある
現在のインターネットというより、現在の資本主義に対してではないかしら。知らんけど。