ファンベース
著
『ファンベース』は、一番最近買って読んだ新書。社内で局所的に話題になっていたところに、大学院の「ライティング・エディティング」という授業で新書の書評を書くという課題が出たので以下略。
著者が「ファンベース」と称するところの取り組みとは要するにブランディングで、「キャンペーン」と呼んでいるのはマーケティングのことかな......というのが自分の理解。中長期施策と短期施策のいずれも企業活動という「車」の両輪として必要ではあるものの、以前に増して前者(ファンベース、ブランディング)の重要性が高まっている......というのは、担ぐキーワードこそ違えど自分がセミナーで語っている文脈と合致していたので安心しました。
その背景として本書で挙げられているのが
世の中に情報も商品もエンターテインメント(エンタメ)も溢れかえりすぎていて、キャンペーンがとても届きにくくなった
人口急減により、顧客自体が物理的に減り続ける
高齢化や少子化、独身増加などで、新規顧客の獲得はどんどん困難に
といった点。特になるほどと思ったのが、上に引用した3項目のうち最後の項目。これがなぜ新規顧客の獲得を難しくするかというと、ライフステージの変化による新しい需要
が減るからということなのね。まぁ減る一方ではなく、トレンドとしてはいずれ底を打つだろうし、そこで新たなバランスが作られるだけ......と思わなくもないけど。面白かったのは
「検索して情報を取りに行く」という行動をする人は、日本では意外と少なく、しかも東京に集中しているのである。
というくだり。実際どうなんでしょう? なんかもうWeb業界に、都内に長く居続けたせいで感覚が麻痺してしまっているのか、検索による情報探索ぐらい(年齢層ごとの違いはあるにせよ)皆やっているような感覚があったけれど。著者は東京は別の国
って断言していて、うーん? ってなりました。