50歳からのむなしさの心理学
著
また一つ歳を取り、50代に近づくタイミングで読んでしまったのが『50歳からのむなしさの心理学』。のっけから、なかなかインパクトのあるフレーズが連発されています。印象的だったものをいくつか覚え書きすると......
仕事でうまく成果を出せてきたし、出世という意味では順調に来たわけだが、どうも自分らしさから遠ざかってしまっているような気がする。
結局のところ、自分のキャリアを追求しているつもりでありながら、組織にとって都合の良いように動かされていただけのような気がする。
大切な人生の一幕を、ただの組織の道具としてむなしく駆け抜けてしまったように思われてならない。
自分は組織人としての仕事生活を全うしようとすることで、無難に生き過ぎたのではないか。
これらのフレーズのうち、何がどれだけ自分の感情に近しいかは敢えて記さないけれど、決して少なくない割合の50代、ないしそれに近しい人々が共通して抱く思いを、著者は代弁しているのでしょう。自分は少なくとも
人生に困難はつきものだが、どんなに辛いときも苦しいときも仕事を頑張ってこられたのも、家族の生活が自分にかかっていると思ったからだ。
というのには、間違いなく該当します。昭和の価値観ズブズブだねって言われても否定しないけれど、家族にお金の心配をさせないというのは常に、自分の趣味や娯楽のためより遥かに重要な動機として仕事を頑張ってきたつもり。それが自分の両親が貫いてきた(と自分の目には映っていた)スタンスであり、自分も同じスタンスを貫くことが当然かつ親からの教えに報いることにもなると信じてきたから。仕事とそれ以外、のバランスはだいぶ狂っていたかもしれないけれど......なので、今後に向けては
何かに集中し、充実した時を過ごすことによって、日々の生活が意味で満たされ、そこに自己実現への道が開かれていく。
というアドバイスを信じて実践したい。自分のためを意識しているかぎり自己実現に近づくことはできない
ともあったので、要は利他の精神でもってフロー状態に入れる何かを見つけよ、ということかな。加えて
仕事としてはひとつの道を全うするとしても、趣味として、遊びとして、別の自分を生きる道をつくっておくのも大事なことなのではないか。
というのにも激しく同意。単線型の人生は、どうしても行き詰まりに弱い
ともあって、やはりプランBを常に用意することだね。ある程度は実践してこれたつもりでいるけれど、まだまだこれからが正念場という気がするから、気合を入れて複線型の人生を目指したい。それが年齢関係なく、変化の激しさが増すいっぽうの社会を生き抜く術になるはず。