Design Systems―デジタルプロダクトのためのデザインシステム実践ガイド
著
遅まきながら『Design Systems―デジタルプロダクトのためのデザインシステム実践ガイド』を読了。言わずと知れた洋書『Design Systems』の日本語版です。実は原著は発売当時買っていたのだけど、英語の本を読むのがだいぶ辛いっていうか寄る年波には勝てず(謎)放置しているうち、岡本さん(誰)が日本語版を手がけていらっしゃると聞き、これ幸いと発売を待ってたんですよね。待ってた割には買ってすぐとは読めなくて......ただページ数の割に文字数は多くないんで、読み始めてからは早かったですが。
感想としては、HTML/CSSメインのフロントエンド開発とかデザインガイドラインの制作・運用にそこそこ携わってきた立場からすると、よくぞ言語化してくれましたっていうフレーズが散見されて嬉しいなと。数年前から自分の観測範囲でデザインシステムって言葉が目につくようになってから、「そんなん昔からやっとるわい、古くからある何がしかにキャッチーな名前をつけては売り込むの、英語圏勢は相変わらずうまいねー」みたく若干斜に構えた感じで捉えてたんですけど、監訳者である佐藤さんが単にデザインガイドラインを作ることではなく、むしろ組織論や運用論
と冒頭で看破されていたのも良かったです。
特に気に入ったフレーズ:
目的や構造から始めないと、コンテンツに依存し過ぎたモジュールになる可能性
一貫性と均一性にはちょうど良いバランスがある
完ぺきな一貫性ばかりを優先させると、汎用的で柔軟性のないデザインシステムになります
誰も覚えていないということは、このパターンは再利用されず、新たなパターンが再び作成される可能性が高い
一貫性の正しさではなく、正しいデザインを重視
常に一番優先されるのは、デザインの巧みさやコンテキストへの最適化
モジュール性が高いほど良いとは限らない
モジュール性の範囲は、何を達成したいかによって変わってきます
パターンは、限定的にも、汎用的にも定義可能
基本的には面白くもわかりやすい本でした。難を挙げるなら、佐藤さんと川口氏の特別対談が章ごとに分割されている構成は、正直読みにくかったです......末尾にまとめて掲載していただきたかったなと。そして分割したからには、基本的に前から順に読み進めていく前提において、各回の冒頭で「○○ページからの続き」みたく何ページ目からの続きか具体的に明示していただきたかったと思います。でないと、p.146みたいな出だしでは特に、「何の話だったっけ?」ってなるので。また、本日時点で正誤表に載っていないながらも誤記と思われた箇所:
- p.66の監訳メモで
理解しやすなっている
とありますが、間に「く」が抜けているようです。 - p.174〜175に出てくるDとEの図版が謎。いずれも書籍のサムネイル画像ぽいけど、本文中での扱いが理解できませんでした。
- p.247で
パターンライブラリー
という表記が出てきますが、他のページでは概ね「パターンライブラリ」と、伸ばしていません。 - p.248の
最初は驚異に感じるかもしれません
の「驚異」が「脅威」である可能性。