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Re: Webアクセシビリティの「はじめの一歩」をスクリーンリーダーの使い方を覚えることにしてはどうだろう?

短いお返事:覚えないまでも、「はじめの一歩」としてスクリーンリーダーの存在や使用法を知るのは、良いと思います。同時に、二歩目をどう踏み出すかがより重要だと思います。

以下は、長いお返事。Webアクセシビリティの「はじめの一歩」をスクリーンリーダーの使い方を覚えることにしてはどうだろう? | Rriverを読みました。ええと、まずは自分の書いた記事に言及、リンクしてくださって、ありがとうございます。著者の竜さんは、

Webアクセシビリティを、いまより一層普及させるには、ウェブ制作者の方々の90%以上が、スクリーンリーダー(読み上げ機能)を使えるレベルにしていかないといけないんじゃないかなぁと感じています。

とお書きになっています。「使えるレベル」というのが、実際に視覚障害をお持ちで、つまり日常的に必要に迫られてスクリーンリーダーをお使いの皆さんと同等のレベルを意図されているのであれば、自分はそこまでは必要ないかなと思います。一方で意識改革のきっかけとして、すごく良い機会とお書きになっている点は自分も同意見で、これまで関連のセミナーをいくつか企画・開催してきた経験上、障害当事者の皆さんによるデモは非常に参加者に刺さりやすい(ありていに言って「ウケが良い」)のは確か。ゆえに、Webアクセシビリティについいて考えたり実際に取り組み始めるきっかけとして、スクリーンリーダーの存在やその使用法を知るのはアリだし、むしろオススメです。

そして、竜さんもWebアクセシビリティはスクリーンリーダー対応に限られたものではないとお書きになっている通り、そこのところを正しく理解して欲しいなと思っています。ともすると、アクセシビリティ対応=スクリーンリーダー対応、に受け取られかねないので......そういう意味では、二歩目をどう踏み出すかがより重要かなと。つまり、視覚障害だけに限ってみても、見え方は人それぞれで多様性があること。加えて、障害者と一言でいってもそれは視覚障害者だけを意味するわけではないこと。であればこそ、スクリーンリーダーのみならず、さまざまな支援技術を介しても使いやすい、コンテンツにある情報や機能にアクセスしやすい設計・実装が必要であること。二歩目には、是非そういうことに気づきを得て欲しいなと思います。

ことWebデザイナーやWeb開発者に関していえば、スクリーンリーダーの使い方に習熟するよりも、アクセシビリティオブジェクトの存在や、CSSがアクセシビリティオブジェクトに及ぼす影響について知るほうが先かなとも思いました。table要素をスクリーンリーダーが表として扱うかはCSS次第だったりする件という記事を昨年末に書きましたけど、どうもそのあたりの認知が業界的に弱いような気がしていて......完全に主観ですが。いや実際には全然弱くない、ということであればアクセシビリティおじさんの杞憂ですけど、まだアクセシビリティオブジェクトについてご存知ない方は、是非アクセシビリティオブジェクトについてをご覧いただきたく。

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