ドキュメント御嶽山大噴火
著
御嶽山噴火の恐さを実感する『御嶽山噴火 生還者の証言』(小川さゆり) : ARTIFACT ―人工事実―という記事を読んだ流れで、380円のセール中に購入・読了したのが『ヤマケイ新書 ドキュメント御嶽山大噴火』。2014年の御嶽山噴火は忘れ難い出来事のひとつで、というのも噴火が起きた日にたまたま木曽駒ヶ岳に登っていた自分は、噴煙を目の当たりにしていたからです(千畳敷カール〜宝剣岳〜中岳〜木曽駒ヶ岳 山行参照)。
本書は、当日御嶽山に登っていた(そして生き残ることのできた)方や噴火後の救助活動に参加された方など、さまざまな立場や視点から多角的に御嶽山の噴火を検証・記録したもので、中には非常に生々しい、読んでいるだけで胸が苦しくなるような記述もあります:
婚約者に「死んだらごめんね」と、スマートフォンでメッセージを送り、電話もかけて「避難しているけど死ぬかもしれない」と伝えた
最後に「お母さんと話したい」と訴えたので、携帯電話で母親に電話をかけた。女性は「ごめんね。ありがとう」などと伝えたのち、意識を失った。心臓の鼓動は止まっていた
男の子はずっと泣いている。父親に聞いたところ、その子の目の前で家族が亡くなったらしい。その子自身、後頭部から出血もしていた
たまの山歩きを趣味にするようになってもう何年か経ちますが、山の中で自らの死を覚悟するとか、あるいは死の危険に直面している人と出会うといった経験は、幸いにしてありません。ただ改めて思うのは、山というのは(活火山であろうとなかろうと)やはり危険な場所であり、そこに立ち入ろうとする者は誰であれ、可能な限りのリスク管理(万が一のための装備の携行や事前の学習を含む)が必要ということ。死の危険に直面してなお生き残れるかどうか? 運・不運の要素がそこに絡むのは否定しがたいけれど、少しでも生存確率を上げたいならリスクには自覚的でありたいなと。