お金2.0
著
しばらく前から書店店頭で平積みになっていて気になっていたのが『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』。仮想通貨方面のニュースが最近賑やかだったり、Kindle版の値段が下がったのを機に、ちょっくら読んでみました。いわゆるフィンテック界隈が、なぜこれほどまでに注目を浴びているのか、その一端を理解するという意味では役に立ちましたし、経済の枠組みにとどまらない著者の論考や視点は興味深かったです。印象的なフレーズとしてはまず
新しいテクノロジーの発達によって、経済は住む対象ではなく「作る」対象に変わりつつあります。
というくだりで、これは結構衝撃的ではないかと。経済を作るだなんて国家にしかできない、言わば国家の専売特許という見方・見られ方がまだまだ一般的ではないかと思うんですが、もはやそうではなくなってきていると。で、その背景にあるのは
世の中に膨大なデータが溢れたことで進んでいく「自動化」と、ネットワーク型社会に移行することで起きる「分散化」という2つの大きな流れは、今後の10年を考える上で非常に重要になります。
というフレーズにあるような、あらゆる物事の中央集権志向から自律分散志向への不可逆変化なわけですね。ただその変化の中で、従来の資本主義がまるで機能しなくなるといったことは(少なくとも短期的には)無く、価値主義と柔軟にリンクできるようになることで、経済の新たな全体像が形作られていく......らしい。いや実際、そうであって欲しいし、そうしなければならないなと。
資本主義はベストではないがベターではあると考えられてきましたが、現在はそれより良い仕組みが実現できる可能性が出てきています。
資本主義はベターではあるがベストではない......これ、恐らく誰もが気づいてることだと思うんですけど、引用したような可能性が本当に出てきているのだとすれば、心のどこかで資本主義を信じ切れていなかった自分にとって福音だし、すごく面白い時代の転換点の真っ只中を生きているのかもしれないなと思います。