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Japan Accessibility Conference vol.1

11月11日の覚え書き。国内最大級・最大規模のアクセシビリティカンファレンスと銘打たれたイベント、Japan Accessibility Conferencevol.1に参加しました。冒頭の挨拶において、サイバーエージェントの桝田さんは昨今のアクセシビリティの盛り上がりを可視化したい、との趣旨をお話しされていましたが、来場者数の印象からして、その目的は十分達成されていたように思います。また、ヤフーの宮坂社長がビデオメッセージを寄せてらしたのですけど、中野さんをはじめとする皆さんの取り組みがいよいよ加速し、ヤフーの各種サービスが段階的にでもアクセシブルになっていくことを強く期待したいと思いました。以下、手短に参加セッションの感想など:

基調講演 UX as science

UX、UIそれぞれの定義を絡めつつアクセシビリティを高めることの意義についてお話されていました。アクセシビリティの必要性については、多様なニーズ/コンテキストに応えることが製品やサービスの価値を高めるという文脈で、もっと経営層に訴求していきたいなぁ、というのを強く思いましたね。タイトルにある科学云々については、人間の身体特性を踏まえた分析の必要性というのを主張されていたような。そこは自分も前々から思っていたことではあるものの(人間をより深いレベルで理解しないことには極めにくい)、必要な知識が専門的になればなるほど医学とか心理学とかちゃんと勉強しないといけないプレッシャーを感じてしまい以下略。

アクセシビリティのインクルーシブデザイン

基調講演に引き続いて韓国の方(昨年アクセシビリティキャンプ東京 2016『日中韓 Webアクセシビリティ サミット』で登壇された張善英氏)のお話を聞きました。逐次通訳はとてもスムースだったのだけど、事前に完全原稿を用意してらしたのかしら。確かに障害者禁止法という(日本は障害者差別解消法)、全ての法人を対象とした強い法律があるのは確かだけれど、やや形骸化の印象がある認証制度のお話を聞くにつけ、果たして本当にアクセシビリティ先進国なのだろうか? と思わなくもないです。そこはやはり、Webサイトそのものの評価だけでなしに、アクセシビリティを継続的に維持・向上させるための組織づくり、仕組み化ができているかといった点を含めて認証すべきだと思うんですけどね。ある時点におけるコンテンツのスナップショットを切り出し評価することの是非については、JIS X 8341-3の試験についても同じ印象を抱いていますが。

アクセシビリティ・ガイドラインの歩き方(初心者編)

わかった気になるのがゴール、との説明

おそらく会場にいらした大半の方が、動く(実在する)もんどさんを見にこられたのではないかと感じたセッション。ただもんどさんの出番である前半より、後半の太田さんパートの方が時間、コンテンツともに多めだったような?時間に収まらず、最後の方はだいぶ駆け足になってしまってましたけど、太田さんの異常なまでの滑舌の良さのおかげでそれほど聞き取りにくさはなく。っていうか、自己紹介のところで妙に活き活きと無職であることを語ってらしたのが印象的でした。WAICのサイトの分かりにくさについては、リニューアルが遅れまくっているのを申し訳なく思うのですが、なんとかしたいと思います、はい。アクセシビリティ・サポーテッド(AS)情報が古くなっている点については今後、作業部会2の活動に参加してくださる方が増えることを期待したいなと。あとはやっぱり、ファンタジーな(現実的ではない)達成方法、爆破したいですね......。

アクセシビリティに対するWordPressの責任について

なぜかイベント当日より早くにスライドが公開されていたのを見かけ、ATAG に言及があるとなお良かったのではなどとつぶやいていたセッション。ただ、話を聞き終えてもよくわからなかったのは、結局のところコンテンツ側の話なのか、WordPress(プラグインやテーマ含む)側の話なのか、両方のアクセシビリティについての話か、が曖昧に聞こえていた点。とはいえ、高いWordPressの利用率ゆえアクセシビリティに対する責任は大きい、というのはごもっともですし、そうであればこそ専門的に取り組むアクセシビリティチームが存在しているのは心強いですね。プラグインやテーマのアクセシビリティについては、うんと厳しくやるなら事前に品質を監査しパスしたものだけ掲載するようにして欲しいけれど、コスト的に無理だろうなぁ。

日本最大級のトラフィックを操る企業を動かす障害当事者の声。

AccSell中根さんが、ヤフーの震災関連のページとCSRレポートのコンテンツについて、有償で(PCとスマートフォン双方で)アクセシビリティチェックを行った結果を絡めつつ、企業がアクセシビリティを推進するうえでのヒントを探る......みたいなセッション。障害当事者が実際に利用しているシーンを共有する、というのは各ステークホルダーからの共感を引き出すにはベストの手法だなぁという感想。同時にその共感については、企業の枠を超えたところでもっと社会全体にアクセシビリティの意義や価値を根付かせないとこの先つらいかも、と思いました。それはつまり、多様性を受け入れることの意義だったり、それが社会にもたらし得る豊かさだったりってことですけど。

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