スタンフォードのストレスを力に変える教科書
著
しばらく前から書店でビジネス書なんかのコーナーに行くと、やたら「スタンフォード」の名をタイトルの一部に含めた本が目につく(ようにディスプレイされている?)気がして、ひねくれ者の自分としては「スタンフォード大学がなんぼのもんじゃい」とか思ってしまうのですが、『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』というのを少し前に読みました。別にストレスとの向き合い方で悩んでいたり、過度のストレスを日常的に受けているわけでも無い(と思う)のだけど、ただなんとなく。
読み終えて正直、すごくためになったとか、ストレスに対する考え方が変わったとか、そういう感想はありません。むしろ、本書で紹介されている数々の研究内容は果たして十分に科学的なのだろうか? などと疑念を抱いてしまったり。何事にも長所・短所はつきものであるからして、ストレスにしたってそれが一方的かつ完全に「悪」ということは無いのだろうとは思っていたから、その仮説が本書によって裏付けられた、と感じた程度。
結局のところ、本書でマインドセット効果と解説されている「思い込みの効果」って、ポジティブシンキングと何が違うのだろう? そこがよく分からない。学術的観点からはそりゃ色々違うのでしょうけど......対象が何であれ、良い面を発見し前向きに捉える、そのポジティブシンキングの延長で、ストレスが必ずしも悪では無いと肯定するのは可能ではないかと。さまざまな知見が長々と紹介されている本書ですが、「ポジティブシンキング重要」っていう一言だけで必要十分な気が、しないでもない。
ひとつ気づきを得たのは、自分の役割にしっかりと取り組み、目標に向かって努力すれば、目的意識を持って生きていけるいっぽうで、ストレスも避けられない
というくだり。逆説的ではあるけれど、自分が何かしら前向きに行動を起こした結果として生じるストレスというのは確かにあると思うし、そう思えればこそ、ストレスの発生を肯定的に捉えることは容易そう。