モチベーション革命
著
『モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体書』という本を読みました。著者曰く働くための価値観、つまりモチベーションが、ある世代を境に大きく変わってきて
いるのだそう。その前後を、著者は「乾いている世代」「乾けない世代」というラベルで大別していて、
- 乾いている世代
モチベーションは「国」や社会」を動かし、支えていくという「大きな枠」
- 乾けない世代
モチベーションは「家庭」「友人」「自分」という、「小さくて身近な枠」
という相違がある、とのこと。時間の経過とともに、あらゆる物事は分化していくはず......という視点で眺めると、良くも悪くも納得できる変化ではあります。とはいえ、「大きな枠」がその変化に伴って完全に不要になるかといえば、自分はそうは思わないので、分化を是としながら「大きな枠」をどうメンテナンスしていくか、「小さくて身近な枠」の集合とそれをどう整合させていくかという点に興味が湧きました。
インサイトが重要だの、なるべく仕事は「公私混同」で取り組んだほうが効果的
だのって話については、自分個人としては賛同できる部分はあるけれども、世の中全体では公私をきっちり分けて線引きしたいほうが圧倒的多数ではないのかな......少なくともTwitterのTLで流れてくる言葉から感じる印象はそう。SNSで起きがちなタコ壷化現象によって、自分が「乾いている世代」に囲われているから、という仮説はありますが。ただその賛同できる「公私混同」については
人生そのものをひとつのプロジェクトと捉え、そのなかに仕事と家庭があり、教育があり、さまざまな工夫や調整をしている
というイメージであってこそ、ですね。可処分所得や可処分時間を含め、自分の人生というリソースの配分先に、何をどう含めるかの定義次第というか。それと後段、「他人に迷惑をかけちゃいけません」という現代の呪い
という話が面白かったです。自分も過去を振り返ると、著者が呪いと呼ぶところの教育をなんとなく受けて来た気がするのですけど、
これから訪れる変化の時代では、「おたがいさま」と言えるような大らかさや、人それぞれの違う色を発揮できるような風通しの良さがないと、どんどん行き詰ってしまいます。
との指摘は、なるほどなと。適度な迷惑のかけあいを是としたうえで社会全体の維持なり成長を目指していけなければ、ベクトルが内を向いたままでは(謎)、遅かれ早かれ辛く生きづらい世の中になってしまうでしょうね。