疑惑のチャンピオン
著
7月2日の覚え書き。出社前に金券ショップで前売り券を手に入れ、退社後に新宿ピカデリーへ。19:40上映開始の回で、『疑惑のチャンピオン』を観ました。原題は『The Program』なんだけど、まぁさすがにそれだけでは日本人向けには通じないっていうか無理あるから、この邦題は仕方無いかな。マニアックな内容のせいか、公開直後にかかわらず空いてましたね......その方が気分的には助かるのだけど。
言わずもがな、この映画の主題はランス・アームストロングのドーピング問題。個人的に、アームストロングというファーストネームから真っ先に思い浮かぶのはニール・アームストロングだけど、次いで想起されるのがランス・アームストロングというぐらい、彼の自転車競技選手としての活躍ぶりには尊敬の念を抱いていたし(かつて人力飛行機のパイロットとして、自転車に入れ込んでいたから......確か彼の著書『ただマイヨ・ジョーヌのためでなく』も読んでいたはず)、だからこそタイトルを剥奪された時はそれなりに衝撃も受けました。
ミケーレ・フェラーリ役の演技が際立っていたというか、あのマッドサイエンティストぽさは凄いと思いましたが、期待していたほどのレースシーンもなく淡々と物語は進行し、実にあっさり終わってしまった感じ。けれど、結局のところドーピングって何なんだろう? と言うのが見終わってから頭の中をぐーるぐる。
アームストロングがルールに違反していたことは明白なんだろうけど、とはいえそれが本当に彼を自転車競技から永久追放しなければならないほどの悪事だったのかどうか。ルールに抵触しない範囲のグレーゾーンというのも、きっとあったのだろうし。映画冒頭で、ツールはフィジカルだけでは勝てない、メンタルが重要だ、みたいなことが語られていたのも、余計に頭を悩ませる一因になりました。ドーピングで体力を増強しただけで果たして、ツール7連覇などという偉業を達成できるものかどうか? その裏にある彼の努力、技術、精神力を全て否定するに値する悪事だったのかどうか、等。