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A/Bテストの教科書

野口竜司著『A/Bテストの教科書』は、まさに教科書の名にふさわしい、A/Bテストについて一通りのことを広く浅く学ぶことのできる良書でした。

「はじめに」の書き出しにもあるリニューアルは時代遅れというのは、数年おきくらいの頻度で既存のWebサイトを爆破し更地にしては「ほぼ」ゼロから作り直すのを割と当たり前に考えている層からすると、受け入れ難いフレーズかもしれません。けれど、Webの利用デバイスなり利用コンテキストが多様化し続けている昨今においてはもはや、その種の全体最適化がコストに見合わないケースが増えている気はします。

その意味ではアクセシブルかつマルチスクリーン対応で、表示パフォーマンスもそこそこイイ感じに(Web環境が変化するスピードに「ある程度」耐えうるぐらいに)全体最適化が完了してしまえば、後はコンテンツとUIの部分最適化を繰り返すのみ......という状況が続くのかなぁと。部分最適化を繰り返すなかから、次の全体最適化の方針を導き出すようなプロセスに置いて、本書の取り上げるA/Bテストは重要になってきていると思い、購入・読了した次第。

もっとも、すべてのリニューアルがp.14に書かれているような「カンや経験」に頼るリニューアルではないと思いますし、そこまでリニューアルを否定する方向に煽らなくても、と思ったのも事実。ともあれ、英語圏では何年か前からデータ駆動のWebデザインみたいな話が聞かれましたが、日本では初めてらしい?A/Bテストを専門とする解説書として本書が発売されたことで、日本のWebデザインもそういう方向に一気に進み始めるかもしれないですね。

本書を読んで一番痛感したのは、やはり仮説立案能力の重要性。確かに、本書で取り上げているOptimizelyのようなサービス、ツールによってテストは(HTMLとかCSSに詳しくなくても)作りやすくなったとは思うけれど、そもそもAとBっていう異なるパターンをどう定義し、そのテスト結果から何を見出すかっていうのは、相応の仮説立案ができなければ難しいわけで。勤務先であればそういう専門家の方もいらっしゃるから心強いけれど、一人で回すとなると相当辛そう。

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