最速の仕事術はプログラマーが知っている
著
清水亮氏の著書『最強の仕事術はプログラマーが知っている』について。タイトルに釣られて買ったわけではないけれど、あとがきで自ら正直に言うと、自分が実践している仕事のやり方が、実際に「最速」なのかどうかはよくわかりません
と吐露されている通りの内容だったのかなと思います。タイトルとは裏腹に、書かれている方法論、思考法が最速であるかといえば微妙だし、ましてやプログラマー「しか」実践していない/できないものでもない。ちょっとした文言を辞書登録なんてのは、割と誰でもやってることじゃないの? と思いましたし。自分のMacでは、たとえば以下のような変換がユーザ辞書に登録済み:
- 「おつ」→ お疲れ様です。
- 「おせ」→ お世話になっております。
- 「きだ」→ 第二本部の木達です。
- 「よろ」→ よろしくお願いいたします。
「きだ」とか「よろ」には、実際には複数の変換を登録してたりするけど、それはそれとして......閑話休題。非プログラマーからすると「プログラマーってそんなに凄いものだったのか?」と疑問に思わざるを得ないほど、やや高慢ないし不遜に感じられそうな一部の書きっぷりが、人によっては苦手に映るかもしれないです。それはおそらく著者のプログラマーとしての実力と自信とが文体に少しばかり表出しただけと思われるのですが、そもそも本書で言うプログラマーとは、業務でごりごりとプログラミングをしている人のみを指しているわけではなさそう。
本書は当初、いわゆるTips集的な体裁・構成に感じられたのだけれど、読み終えた感想として自分はそうは受け取りませんでした。プログラマーという職種なりその仕事内容だったり、何をもってしてプログラマーとして認められるのか? あるいはプログラミング行為そのものを清水氏がどう捉えているのかを、さまざまな切り口から書き下したものという印象が強いです。後半のほうでは、経営に対する考え方についても踏み込んでいたし、それはそれで興味深かったので、一読の価値はあったと思うのですが。