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億男

僕は滅多に小説なんか読まないのですけど、少し前に『億男』をざっとですが読み返しました。近所の書店だといまだに平積みされてたりするのですが、細々とでも売れ続けてるんですかね。発売されたのは結構前だったと思うけれど、お金と幸せをテーマにした小説です。宝くじで3億円を当てたのも束の間、古くからの友人にそのお金を奪われてしまったことに端を発して立て続けに起こるハプニング......果たして主人公は3億円を取り戻せるのか? そしてそれを奪った友人の真意とは? てなお話。

お金の話は、あまり好きではありません。少なくとも、得意ではない。小さな頃から、人前でお金の話はしないように、というようなことを言われ続けて育った気が何となくしていて、いつの間にやら(良くも悪くも)その手の話題を忌避するようになっていて。とはいえ、生きていくうえではうまくお金と付き合っていかないといけない以上、好むと好まざるとに関わらず、あれこれ考えないといけない対象であることは確か。もっと早くからお金との付き合い方をちゃんと学んだり考えたりすべきだったと気づいたのは、実家を出て一人暮らしを始めてからようやく、だったっけ。

つまるところチャップリンが言ったとおりなんだ。人生に必要なもの。それは勇気と想像力と、ほんの少しのお金さ。想像力を持ち、世界のルールを知る。そして勇気を持ってそこに踏み込む。それさえあれば、ほんの少しのお金で充分だと思える。あのセリフの意味はそういうことなんじゃないかと僕は思っている。

お金が無くては生きていけない。貧乏になって、個人的な趣味・嗜好に費やせる額が大幅に制限される状況に陥ったり、さらには自分自身を含め家族を養うことが困難になったりしたら、辛い。かといって、じゃあ億男ほどの大金持ちになりたいかと言えば、そうとも言い切れない。お金があればあったなりの苦労というのはきっとある(あいにく大金持ちになった経験はないから憶測でしかないけれど)。何事も「過ぎたるは猶及ばざるが如し」、お金とて例外ではなかろう......との想いを新たにしつつ、結局のところお金と幸せってあんまりリンクしてないんだよなぁ、というのが本書の感想。

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