これからのWebサイト設計の新しい教科書
著
『これからのWebサイト設計の新しい教科書』を読みました。WebデザインのプロセスにCSSフレームワークを導入することで、効率化できるところは効率化していこう!!という提言の本で、中心的に取り上げられているのはBootstrap。この手の本は結局のところ読んだだけではダメで、ちゃんと手を動かさないことにはアレなんですけど、しかし昨今のWebデザイントレンド(ただしフロントエンド寄り)を概観できるという点でも良書だなって思いました。主なターゲットはやはりHTML/CSS/JSを書く立場のフロントエンド・エンジニアらへんと思われますが、ディレクターやビジュアルデザイナーの方が買ってLesson 1〜6(すなわちBootstrapを使った実践的なところに入るまでの前段)だけ読んでもためになるのではないかと。もちろん全編読みこなして、フロントエンド・エンジニアの手を借りることなくプロトタイプを作れるようになったら、それはそれで素敵ですけども。以下、重箱の隅つつきというか、気になったところとか:
- p.15で
どのデバイスで検索しても結果は同じ
と書かれている意図がつかめませんでした。p.24で取り上げている、例のモバイルフレンドリーか否かが検索順位に影響するのは、今のところモバイル検索だけのはずですし(つまり使用するデバイスによって検索結果は変わり得る)。 - p.19で
図6で示したデバイスの画面サイズの分布
とありますが、図6はAndroid OS を搭載したさまざまなデバイスのシェア(2014年)
であって、これは本文が違っているのか、図を載せ間違えたのか、よくわかりません。そのあとに続く、デバイス・ピクセル比を適用して考えると、ブラウザのサイズとしては数種類のパターンにまで減ります
として図7を参照させているのにも違和感。数種類、というのは正確な表現ではないと思いました。 - p.54にある見出し、
タッチデバイスならではサイズ感
は、「の」が抜けているように見えます。 - p.56に「フラットデザイン」の用語解説がありますが、p.32が初出の割に参照がなされていないのが不思議でした。
- p.61で「モジュール」の用語解説があり、「コンポーネント」との違いを明確にしていました。自分としては、どちらも構成要素という意味で使ううえで区別してはこなかったので、本書での定義の出典を確認したいところ。
- p.63の
今後結果にはつながらなくなっている
は、「つながらなくなってくる」の誤記かと。 - p.83でrespond.jsに言及しているのですけど、IE8向けにrespond.jsを読み込ませたいというのはRWDの意義や目的を勘違いされているケースと自分は考えているのに加え、来年1月にはIE8のサポートも終了するのですから、わざわざ本書で紹介しなくても良かったのではないかと。p.209についても同様。
- p.111の
グリッドに添って
は「沿って」のほうが適切かなと思いましたが、確証はありません。 - p.112の
CSSフレームワークを使ってサイト制作では
は「使った」の誤記かと。 - p.117の
Sassへ以降するユーザー
は「移行」の誤記かと。 - p.118の
Bootstrapいくつかのclassを組み合わせて
は、「に」が抜けているように見えます。 - p.131の
FireFox
表記に違和感。もっともこれは自分が「Firefox」で書き慣れすぎているせい? - これはBootstrapへの指摘ですが、p.133にあるList groupコンポーネントの解説、
各項目をリンクにする場合はul要素・li要素を使わず、a要素を並べてください
というのは個人的に「ないわー」という感じ。 - p.185なんかに出てくるline-height値、1.428571429の理由については触れられていないのですけど、css - Why does Bootstrap set the line-height property to 1.428571429? - Stack Overflowにある答えでいいのかしらね。CSSのコメントにも20pxという値があるけれど。
- p.211にある
cleafix
は「clearfix」の誤記かと。 - p.227のコラムで、同じ文に「よく」が二度出てきたのが気になりました。どちらかが不要かもしれません。
- これもBootstrapへの指摘ですが、p.246で取り上げられている、sr-接頭辞をもつclass名については、どうも賛同できません。アクセシビリティ対応がスクリーンリーダーユーザー≒視覚障害者のためのものという誤解を招くという理由のほかにも、スクリーンリーダー以外の非視覚系UAや出力装置(たとえば点字ディスプレイ)の存在を考えると良いclass名に思えないという理由からです。
- p.250に
Data URI Schema
という言葉がありますが、SchemaではなくSchemeではないかと。p.255の表中にも同じ言葉が出てきます。