現場のプロが教えるHTML+CSSコーディングの最新常識
著
著者の一人である大竹孔明さんの取り計らいで、『現場のプロが教えるHTML+CSSコーディングの最新常識 知らないと困るWebデザインの新ルール4』をいただきました。ありがとうございます。本当は一通り読み終えてから言及したかったのですけど、読了のタイミングを待つといつになるか分からなくなってしまうので、現場のプロが教えるHTML+CSSコーディングの最新常識、Webアクセシビリティのページを読みました | ma-san.orgと同じく、Webアクセシビリティに特化して本書をご紹介しておきたいと思います。ちなみに大竹さんは、本書でまさにそのアクセシビリティの項を担当された方です。
ma-san.orgの鈴木さんも書かれているように、この手の本でアクセシビリティに9ページ「も」割いているというのは、珍しい部類ではないかと思います。より幅広く、Webデザイン全般を扱っている書籍であっても、アクセシビリティのアの字も出てこないような本が(残念ながら)多くあります。そうした本の著者なり編集者は、アクセシビリティを障害者/高齢者対応とイコールと誤解してのことか、理由が何であれ結果的にアクセシビリティを軽視しているか、それをWebデザインの一部、しかも極めて重要な一部との認識を欠いているように映ります。そんななか、HTML+CSSコーディングに内容を絞り込んでなお取り上げるべき話題が豊富にあるにもかかわらず、9ページをアクセシビリティに割いたのは実に素晴らしいと思うのですね。個人的なお気に入りのくだりはここ:
マークアップした後に、サイトの構造が変わることもあるが、そうした時にも意図を持った順序でHTMLが記述できているかを確認する必要がある場合には、都度CSSを切って確認してみることも重要だ。ビジュアルのためにあまりにも強引な文書構造になっていないかを確認するのだ。
CSSを切る、つまり制作者スタイルシートを無効化するというのは、割と頻繁にやっています。具体的にはMacでFirefoxをメインのブラウザーに使っているので、Web Developerアドオンの機能で(Option+Shift+Aのキーボードショートカットで)有効/無効をトグルさせます。HTMLソースを確認するとか、HTML5 OutlinerやHeadingsMapといったアドオンの類でアウトラインを確認するより遥かに簡易的ではありますが、極端に合理性を欠いていると思しき構造、線形化された状態では意味をなさなくなるようなコンテンツがないか、さくっとチェックできて便利。合理的でアクセシブルな文書構造であれば、制作者スタイルシートが無効な状態であっても「それなりに」見やすく使いやすいはず......まぁそのあたりの判断基準はかなり主観的かもですけど。
大竹さんのようなイマドキの意欲あるエンジニアやデベロッパーな皆さんが、一人でも多く本書を機にアクセシビリティを知り、また「できるところから」実際に取り組みを始めていただけるとありがたいな、と思います。そして願わくば、興味・関心をもってより深くアクセシビリティを学び始めるだとか(9ページが割かれたとはいえ、Webアクセシビリティの専門書ではない以上、割と初歩的な内容にとどまっている点は致し方ありません)、あるいはHTMLやCSSを書かないまでも同じプロジェクトで一緒に働くプロデューサーやディレクター、デザイナーの方々にまでWebアクセシビリティの考え方・捉え方を広めていただけたらと。