シニアが使いやすいウェブサイトの基本ルール
著
『シニアが使いやすいウェブサイトの基本ルール』という本を読了。本書はChapter1の基本編とChapter2の実例編からなり、ルール自体は前者に、その実例が後者にまとめられています。気になったのはそのバランスで、総ページのうちだいたいChapter1が1/4、残りの3/4をChapter2(ページ面積の多くが実際のサイトの画面キャプチャに割かれている)が占めているという。そういう意味では内容的に濃くはないのだけど、それは店頭で実際に手に取って分かったうえで購入。
上記の構成もさることながら気になったのが、基本編と実例編のあいだにある齟齬。たとえば、基本編のp.16でプルダウンメニューの使用は要注意
、またp.17ではシニアには「パンくずリスト」の意味は理解されない傾向があると言われます
としていながら、その両方をp.66〜67のJTBの事例では長所のように取り上げています。同様の齟齬を感じた点は他にも複数ありました。Webサイトのデザインというのは何もシニアにとっての使いやすさのみで決まるものではなく、さまざまな点を勘案したうえで決まるのが通例ですから、齟齬と評するのは酷かもしれませんけど、しかし本書のテーマを考えれば文脈的にもう少し一貫性が欲しかったかなと。
また、実例編において取り上げられている特徴というのが、かなりの頻度で重複して登場します。取り上げるべきポイントが似通ってくるというのは「ある程度は」仕方ないと思いつつ、穿った見方をすれば単なるページ数稼ぎにも映ります。自分なら業種をまたいでの特徴の重複は避け、もう少し全体のボリュームを落とし、そのぶん価格も下げる方向で編集したい感じです。まぁそれでも、基本編でシニアの利用特性につき「へぇ」と思ったくだりが幾つかあったので、参考にはなりましたけども:
大きな画像に視点が固定されがち
カタカナに対する拒否反応は、若い人には想像できないレベル
読むよりも視覚的にウェブサイトを理解する傾向が強い
リストマークをクリックする傾向
画像を見るとクリックできるものと思い込んでいる傾向
多くのシニアが慣れ親しんでいる大手検索サイトにならって窓内を空欄に
シニアに多いのが「入力したつもりが検索窓へのフォーカスが外れていたため検索ワードが入力できていなかった」という失敗
シニアに多いミスは「確認画面」が表示されてその段階で入力内容が正しいことに安心して操作を終えてしまう
シニアの多くはブックマーク代わりに閲覧しているページを印刷します