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新入社員の君へ

僕はもう社内では十分過ぎるほど老害の類であるからして、入社式のあったその日くらい、説教じみたことを新入社員の君に向けて書く権利はあると思うんだよね。といっても、何かこれからの人生の役に立つ教訓だとか、そういう内容は期待しないで欲しいな。どちらかと言えば、僕からの身勝手かつ一方的な「お願い」に近い。

やれ新卒一括採用だの終身雇用だの、そういう古くからの伝統がいまだ根強いながら、日本社会での働き方は徐々に、しかし確実に多様化してきたように思う。特にこのWeb業界では顕著じゃないかな?そうした変化のなかで、それでも君は組織に属して働くことを選んだわけだ、理由は知らないけどさ。

どんな組織でもそうだと思うけど、外から眺めていたのと内に属した後とでは、見え方が全然違うと思うんだよね。そして、それが発端ではないにせよ、組織に対し不平・不満を抱く日は遠からず訪れる。Twitterなんかに、上司や顧客の愚痴をこぼしたくなったりしてさ。それはもう、ほぼ100%確実と言ってもいい。そうならずにもし一年間をやり過ごせたら、一杯奢ってもいいよ。

しかしもしそうなったとき、入社式の日のことを是非、思い出してみて欲しい。君は何を考え、どう感じていたか。そして考えてみて欲しい、君はなぜ組織の一員になることを選んだのか。不満の解消ないし改善に向け、どれだけ自発的かつ積極的に行動してきたか。君の上司とは、必要なコミュニケーションを十分に取れていたか。もしも直の上司が話にならなかったなら......あまり好ましくはないけれど、社長に食って掛かったっていいと思う。要は、どこまで真摯に不平・不満の根っこと向き合ったかってこと。

働き方が多様化してきたおかげで、今どき、転職や独立するのは簡単かもしれない。それなりのリスクやコストを許容できるならね。そもそも、いつだって「隣の芝生」は青々と見えるものだよ。でもさ、繰り返しになるけど、いまいちど自身に問いかけてみて欲しい。「自分の選んだ芝生」を青々とさせるための努力は、惜しまなかったかな?

もう、僕が何を伝えたいか、きっと分かっているよね。組織と個人のあいだの線なんて、引かれているようで引かれてなんかない。もちろん、なかには線を引きたがる、つまり仕事とプライベートをきっちり分けて考えたがる人もいる。それはそれで構わないさ、個人の自由。けどね、やっぱり組織に属した以上、その組織の一員としての責任、その組織を少しでも居心地の良い環境にし続けるための責任が、君自身に少なからず「ある」と思うんだよ。

「こんな組織、辞めてやる!!」って考えるのは簡単。しかし実際には、君が見たり聞いたりしているすべてがイコールで組織のすべてではない。たいてい、君の想像も及ばぬところで、組織をより良くしようと頑張っている人がいるはずだし(しかも案外身近にね)、見聞きしたなかには誤った情報、単なる噂話だってあるかもしれない。だから、簡単に諦めたり、早まったりしないで欲しいんだな。

まぁ、つまり、辛い目に遭っても、もうちょっと一緒に頑張ってみない?ってこと。声をかけてもらえれば、相談には可能な限りいつでも乗るし、愚痴だって聞くよ。立場的には、喜んで愚痴を聞かせて欲しいくらい。だって組織を改善するためのネタの宝庫じゃない?愚痴って。君と一緒に、少しでも組織を良くしたいと思うから。

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