なぜ、結婚はうまくいかないのか?
著
早稲田大学の教授で、国際政治学者である森川友義氏の著書『なぜ、結婚はうまくいかないのか?』について。3組に1組が離婚するという現代の日本における結婚の分析が、分かりやすくまとめられています。のっけから結婚は、恋愛のゴールであると同時に、恋愛が終わる場所でもある
だとか、理論的に突き詰めてゆくと、一夫一婦制という結婚制度はうまくいかないようにできている
だとか、結構過激に感じることを書かれていますが、しかし決して離婚を推奨しているものではありません
とのくだりを見逃すと、本書を激しく誤読する恐れあり。まず、第1章でなぜ結婚がうまくいかないのかを
「恋愛」して「結婚」するから
結婚を生まれて初めてしたから
男女の資産価値が変化するから
夫婦の五感的魅力が減少するから(とくに夫が臭くなるから)
家事の独占は腐敗を招き、共同作業はただ乗りを招くから
の5つに分けて分析。いずれも刺激的な見出しではあるけれど、内容は至ってまともというか、説得力がありました。まぁ「夫が臭くなるから」というのは、なんともアレな感じではありますが。そしてうまくいかなくなった結果として、離婚してしまう夫婦が全体の1/3を占めるわけだけど、一方で残り2/3の夫婦はもろもろの理由から離婚を回避している......その理由、背景をあれこれ掘り下げたのが第2章。最後の第3章では、結婚生活向上への解決策を5つ提示しています。なかでも個人的に気になったのは以下のくだり:
「幸せ」というのは、短期的には存在しても中長期的に存在するのは不可能な仕組みになっている
男は外に出て経済的資源を安定的に獲得し、女は家庭に留まり、炊事育児を担当するという時代は終焉しました
お互いにないスキルを「補完し合う仲」より、同じような行動をして「重複する仲」へと移行するのが正解
代替がきかない補完、いつでも離婚できるように自分の価値を高めることが、逆に夫婦の離婚をしづらくしてゆく
総じて「ためになった」というより断然「面白かった」のですが、既に結婚されている方も、これから結婚しようとしている方も、読んでおいて損は無いような気がします。