北極・南極ってどんなところ?
著
イベントの存在に気付いたのがつい昨日のことでしたが、コニカミノルタプラザで催されている北極・南極展の公開授業1「北極・南極ってどんなところ?」に参加しました。Ustreamの中継を見ても良かったけど、南極半島まで2度足を運んだ身として直にお話を伺いたかったのと、講師の田邊優貴子さんが母校で助教をされているというのに興味が湧いたので。開始1時間前に着いて整理券をもらったら18番、しかし開場の13:50には番号と関係なく入場でき、前から2列目中央に着席。以下は、講演内容のメモ:
- まず自己紹介、青森のご出身。乳製品好きで、第53次南極観測隊に参加した際にしらせ船内で牛乳50本と一緒に撮ったという写真は圧巻。
- 北極圏に領土を持っているのは8カ国。ノルウェー領に位置するスヴァールバル諸島で、田邊さんは今夏も調査をしたのだそう。
- 両極は薄暗いイメージがあるけれど、確かに日照時間で比較すると両極地域は少ない。
- 先に北極のお話。奇麗な花の写真が続く......長之助草、ポピーの仲間、ヤナギランの仲間、極地ヤナギ、ムカゴユキノシタ etc.
- ムカゴ、というのはそれ単体で繁殖が可能な部位。場所的に交配(受粉)が難しく、ムカゴがあると種を存続させやすいらしい。
- 続いて動物。人間が持ち込んだトナカイ、季節で毛の色が変わるホッキョクギツネ、グース、顔白雁、飛ぶのが下手なパフィン......。
- 何でもパフィンは、飛ぶ様の撮影するのに2時間も待ったとか。短めの翼をパタパタさせるのかわいい。
- さらに、ハトと同じくらいの大きさだけど体重は遥かに軽く、両極を行き来するキョクアジサシから、田邊さんはまだ間近では見たことないというホッキョクグマへ。
- 近年、調査地域でも痩せたクマがしょっちゅう出るらしく、外出時にはライフルを携行するのだそう。
- 次いで南極のお話。海水を船首から出しながら氷を割る「しらせ」、しかしバックして助走をつけては少し割り......を繰り返すため、ペンギンより進みが遅い時もあるらしい。
- ブリザードの様子の紹介、そして地上の淡水の7割を有する大陸氷床の解説。氷の中の泡は、数十万年前の空気!
- 低温・乾燥の度合いは火星のそれに近く、実際、分解されないせいで2,000年も前のアザラシの赤ちゃんのミイラの写真も(汗
- 太陽や月は右から左に転がるように動く。ほか気象現象として蜃気楼、オーロラを紹介。そして砂状のガーネットやサファイアの原石(土壌がないので露出している?)のスライドへ。
- ついにペンギンのお話。アデリーペンギンのルッカリー(営巣地)の地面が赤いのは、餌のオキアミを食べた糞の色。顎が白い個体は若い1〜2歳。
- コウテイペンギン。腹ばいでの移動(トボガン滑り)が多いのは体重のせい?穏やかに見えるペンギンも、実はしょっちゅう喧嘩する(しかもしつこく追い回す!)。
- 警戒心がないウェッデルアザラシの紹介。ずーっと昼寝してたりとか、氷に調査目的の孔を開けたところへ呼吸しに顔を出したりとか。
- クジラに続いてアホウドリの紹介。ハイガシラアホウドリ、マユグロアホウドリ、ワタリアホウドリ。
- 鳥類の紹介が続く。ユキドリ、そしてナンキョクオオトウゾクカモメについてはペンギンの雛を丸呑みする衝撃シーンを紹介。
- ......南極は生き物が豊富、に見えるけれども、基本的に陸上生態系に属さないものが多いとのこと。
- さえぎるものが無く、南極大陸を囲むように回る風が物質移動を阻むぶん、周辺の大陸から孤立しており、陸域生態系は極めてシンプル。
- 露岩域にある湖の底には緑の絨毯が!湖底植物の正体は苔と藻類。
- 近隣同士でも異なる生態系を有する南極湖沼はさながら「小宇宙」。極限環境による強い選択圧等、田邊さんにとってはガラパゴス諸島を凌ぐほどの面白いフィールド、だそう。
終了後、著書『すてきな地球の果て』を買うとサインしてくださるというので、購入ついでに2点質問しました。ひとつは湖底の植物がなぜタイガ(針葉樹林)のような形状を構成していたのか?で、理由としては、平面でいるより立体のほうが成長に都合がよく紫外線を避けるにも有利とのこと。もう一つはパフィンがなぜ飛ぶのが下手かという話で、潜水にも対応した結果らしい。