「やりがいのある仕事」という幻想
著
森博嗣著『「やりがいのある仕事」という幻想』を読了。なぜこの本を買ったのか、いつ読み終えたのかは、覚えていません。改めてハイライトを付けたところだけ読み返してみると、題名からイメージされるほどネガティブな内容ではなかったし、納得できるところも少なくない本でした。なぜネガティブなイメージを持つかと言えば、それはつまり僕自身が仕事にやりがいを感じたいと思っている一人に他ならないわけで。その点は、本書を読み終えてなお変わってはいないし、(同じ仕事をするなら)たとえ幻想であってもやりがいを感じることができたほうが、それはそれで幸せで良いことでは?と思います(第4章を読む限り「どちらでも良い」が答えみたいだけどw)。
著者の主張をどれぐらい受け入れられるかは、「人は働くために生きているのではない」とのスタンスに賛同できるかどうか次第、のように思います。一日の、いや人生の多くの時間を割いている以上、働くために生きているかのように感じるのは割と一般的かなと思うけれど。多くを割いているがゆえに、何が目的で何が手段か、見えにくかったり入れ替わりやすかったりするかもね。ただまぁ、何のために生きているのか、その本質を時に見つめ直すのは大事なことだと思うし、そういうときにこそ、やたらアゲアゲな自己啓発本(笑)より本書を読み直すほうが良さそう。以下、ハイライトした箇所のなかからピックアップ:
食べ物のように好きか嫌いかということが、仕事の場合は事前によくわからない
自分で自分が何に向いているのか、ということはけっこう難しい判断
勉強に身を置く時間というのが、人間にとって最も価値がある投資
「自分にとってどうなることが成功なのか」を見極める
社会が成熟し、定常に達すると、仕事の量は減るのがものの道理
どちらかというと、スペシャリストのほうが長く必要とされる
趣味も生活も、どんどん個別化し、多様化して、みんなが同じことをしなくなる。それが未来の基本
メジャよりもマイナへ。ジェネラルよりもスペシャルへ。メディアからコンテンツへ、開発から維持へ