EPUB 3とは何か?
著
比較的最近になってリリースされた『EPUB 3とは何か?』を読了。無償で公開されていた『What is EPUB 3?』の日本語版で、大変ありがたいことに本書も無償。EPUB3の概要を把握するには非常に良い構成、内容だったと思います。そのうち『Accessible EPUB 3』の日本語版も無償でリリースされたりしないかしら(とっくに入手済みだけどまだ読んでない)、というのはさておき、気になったくだりを覚え書き:
しばしばEPUBは「HTMLとCSSをzipで圧縮したフォーマット」として解説されることがあります。これはかつて蒸気自動車が「馬なし馬車」と呼ばれたことによく似ています。
EPUBはHTMLやCSSといったウェブ標準と呼ばれる一連のテクノロジーを数えきれないほど採用しています。同時に、ウェブ標準だけでは実現できなかった要件を独自の仕組みで解決しています。
“publication”というより汎用的な言葉が熟考の末に選ばれた。それは、EPUBはある特定の種類の文書だけを用途に想定している、という先入観を避けたかったからだ。
実際にEPUBが定義しているのは、コンテンツのフォーマットと、リーディングシステムがコンテンツを検出して読者にレンダリングする方法
AmazonのKindleでバイスで使われるMobiフォーマットであれば、単独の企業によってコンテンツとレンダリングの両方をきちんとコントロールできるので、自社のテクノロジーが徐々に古びてゆこうが悠長でいられる。
最先端のebookを実現できること。オープンであること。コミュニティ駆動型であること。標準に準拠していること。これらすべてを満たす仕様はEPUB3の他にはない。
異なるデバイスごとにebookを作り直すよりは、先進的な体裁の電子書籍を作ったあとで、表示するデバイスの機能にあわせてスケールダウンさせたほうがよいとは思わないだろうか?ウェブ標準と緊密に無視日着いたEPUBではそれが可能だ。そしてAmazonが出版社から受け取ったEPUBを配信用のMobiファイルに自動的に変換できている理由も間違いなくこの結びつきによるものだ。
現在のKindleで使われているKindle Format 8のMobiファイルでは縦書きをサポートしているが、これは内部的にEPUB3を利用して実現しているもの。
IDPFでは新しい仕様の全体にアクセシビリティのサポートを取り入れており、それはHTMLが長い間失敗し続けているような単なる付け足しではない。