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作業場の解体近し

作業場の中より外を望む

三連休の前半、つまり昨日から今日にかけて千葉の実家に帰省したのですけど、じきに作業場を取り壊す予定だ、と母から告げられました。次の帰省のタイミングは年末年始になるはずで、その頃にはおそらく無くなっているだろう、と。それを聞いて大変寂しい思いをすると同時に、その姿をせめて記録しておくべく、iPhoneで何枚か写真を撮っておきました。あらかじめそうと聞いておけば、デジタル一眼のPENを持参したのですが......仕方ありません。

父はアルミサッシの組み立てや販売を中心に手がける個人事業主で、定年をとっくに過ぎた今でも(頼まれればですが)家や建物の修理を手がけています。実家の敷地内にあるその作業場は、父親の仕事場として長いあいだ役立てられてきました。自分にとっては、父の働く姿を間近に眺めることのできる場所であり、同時に小学生くらいまでの間は良き遊び場でもあったように思います。

建物としては昔から傷みが酷く、床が傾いていたり、そこかしこにガラスの板が断面むき出しで置かれていたりと、子供の遊び場には決して向かない場所でしたが、不思議とそこで大怪我をしたことはありません。作業場で過ごした時間は、父を理解しようとするとか、あるいは「ものづくり」への興味を抱くといったプロセスにおいて、重要な役割を果たしてきたと思います。そうそう、悪さをしたときこっぴどく叱られ、足が腫れ上がるまで叩かれたのもこの作業場(そのときのおかげでだいぶ人間的に校正はされているはず)。そこで父と共に過ごす時間は、僕が成長するにつれ短くなったように思いますが、人力飛行機を製作した大学時代には、フレーム用の定盤の部品を作ったのも、この場所でした。

そんなこんなで、思い出深い作業場が無くなってしまうというのは何とも寂しい。もっとも、取り壊すという話は数年前から出ていた話で(あまりに見てくれが悪いものだから、どちらかというと母は早く壊したかったみたい)、消えてなくなるのは時間の問題だったわけですけど。日常のなかではさして痛感することのない時の流れの速さを、稀にこうして眼前に突きつけられると、辛く切ないものですね。

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