僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?
著
木暮太一著『僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?』読了。たまには新書でも、という感じで衝動買いした本。リクルート、富士フイルム、サイバーエージェントの各社を渡り歩き、現在は作家として主たる収入を得ている著者の薦める働き方が解説されています。著者が学生時代に読んだ『資本論』と『金持ち父さん貧乏父さん』の2冊に見いだした共通点にヒントを得ているそうです。今まで手にして来た自己啓発書の類にはなかった内容で、そこそこ面白かったのですけど、全体的にはイマイチ消化不良。たとえば、 働けど働けど......な状況からどうすれば抜け出せるのか、について
じつはその答えは、資本主義経済の構造・仕組みを理解しなければ導き出すことができません。なぜなら、いくら会社や仕事をかえても、現代の日本にいるかぎり資本主義経済からは逃れられないからです。
他社に移っても、しんどい働き方自体は変わりません。
もちろん、転職や独立、ライフワークバランスや仕事の業務改善を考えることも大切ですが、それでは根本的な問題解決にはならないでしょう。
などと「はじめに」のなかで記しておきながら、後半で具体的な働き方・生き方の指南として挙げているなかに
- 世間相場よりもストレスを感じない仕事を選ぶ
- 長期的な資産を作る仕事を選ぶ
- 過去からの「積み上げ」ができる仕事(職種)を選ぶ
- 変化のスピードが遅い業界・職種をあえて選ぶ
みたいな、あたかも他業界・他業種への転職を勧めるかのアドバイスが含まれているのは、なんだかなぁという感じです。歳を取れば取る程、過去からの蓄積をどれだけ活かせるかが問われるのは、故Jobs氏の「Connecting Dots」な話を思い出すまでもなく誰しも同じだと思いますし、何がしんどくて何がしんどくないかを決めているのはほかならぬ自分自身なのだから、たとえ変化のスピードが速い業界・業種であったとしても、本人的に納得がいく(ストレスが個人の許容範囲に収まる)なら、その仕事で勝負したほうが得る物は多いと思います。資本主義経済という環境で生きて行く以上、それがどういう仕組みで動いているかは知らないより知っておいたほうが良いでしょう。しかしそれにどこまで迎合するか/すべきかは、当然個々人で異なるし、それぞれがそれぞれの年齢に応じた「折合い」を見つけながら生きて行くしかないのでしょうね、結局のところ。あ、あとアマゾンのレビューでも指摘されている方がいますが、年収1,000万でも「しんどい」と決めつけているのはどうかと思います......。