Webデザイナー/コーダーのためのHTML5コーディング入門
著
アヨハタさんが編集で関わったという『Webデザイナー/コーダーのためのHTML5コーディング入門』は、実は僕もこのGW中に読み終えた本の一冊でした。以下、感想とか徒然なるままに:
- p.11の「XHTMLは普及するに至りませんでした」は、XMLフォーマットとしての価値を最大化せんとする元来の目論見からすれば確かにそうでしょうけど、HTML 4.01と互換性をもつXHTML 1.0は多く利用されているのだし、そう言い切られるのは微妙な印象。
- p.43でソースサンプルのコード番号が一部(再終行)重複してます。
- p.47の「Body要素」のところ、小文字で書き始めるべき箇所ではないでしょうか(p.74の「Class属性」も同様)。Wordなんかで原稿書いていると「あるある」パターン?
- p.51で「要素の入れ子構造と文書のアウトラインとは関係がありません」というけれど、直前のp.50の状態では実はまだ要素の入れ子状態は発生していないんですよね。
- p.56の「セクションルートは、文書構造におけるiframe要素のような存在」、喩えとしてはわかるようなわからないような。
- p.57にある「div要素は意味を持たないためアクセシビリティ上の問題が起こるおそれがあり、安易に使うべきではありません」は、根拠を明示していただきたいです。自分はそうは考えていません……意味的、文書構造的にもっと相応しい要素があればそれを使うべき、という点では見解は一致していると思うのですけど。
- p.57から解説の始まるhgroup要素は、つい先日微妙な状況に(参考:The hgroup hokey cokey | HTML5 Doctor)。このあたり、書籍という媒体としてはなかなか難しく辛いところですね。
- p.65でソースサンプル中「(C) 2010 EXAMPLE FARM」という記載がsmall要素でマークアップされていないのは不思議でした。Chapter3では
コピーライト表示のための文章をsmall要素で設定
しているのに。 - p.67に登場する「プレースホルダー・リンク」、具体例が無いぶんイメージが湧かなかったんですが、HTML5 Placeholder Links - What are HTML5 Placeholder Links For?を読んで納得。p.68から説明されているping属性も、具体例としてどういう状況下でどう美味しいかがもっと詳しく書かれていたら嬉しいのにと思いました。
- p.73の「mark要素を用いた表示例」は、コントラストが不十分なのか紙面ではわかりづらかったです。
- p.75の「wbr要素とは、行の折り返しを認める箇所を指定する要素」という説明、まさにその通りではあると思いつつも、日本語的にはちょっとわかりにくいですかね。p.76の「wbr要素を用いた表示例」というのも、HTML5仕様からまんま引用したみたいですが、英文ゆえに伝わりにくいかと。せめて、wbr要素が無い状態(=thereisnowayyouareevergoingtocatchmeがいち単語として扱われる状態)と比較して欲しかったです。
- p.82で「キャプションを与えたい場合にはalt属性ではなく、title属性またはfigcaption要素を指定」とあるのだけれど、UA側でのtitle属性の扱いにはどうも不安を覚えるところがあるから(完全に主観)、どっちかといえばfigcaption要素派かな……にしてもややこしくなりますね、このあたり。
- p.94で登場するWebSRTというのはやや古くなってますね。昨年12月28日にWebVTT(Web Video Text Tracks)と改名されています。
- p.95でMiro Video Converterが「Windows版のみ」と紹介されていますが、誤り。Mac版も提供されています。
- p.102で「パーティクルの処理」とあってすぐにそれがどういうものかわからなかったのですが、パーティクルについて勉強してみた結果がこれだよ(by FLiNT Particle System) - SAKOTSU INSPIREを見たらよくわかりました!
- p.114のコラムで「WAI-Area」という表記があるけど、さすがにこれは「WAI-ARIA」の誤記ですよね。
- p.120「入力のユーザーインターフェースは特に指定されていませんが、カレンダーで日付を選択できるようなユーザーインターフェースが望ましいでしょう」とあるけど、理由が明記されていないのはちょっと不満です。結論に対して反対しているわけでもないのですが。
- p.132でmeter要素の解説に「ある範囲内の数値を視覚的に表す際に使います」とありますが、「視覚的に」というのは不要ではないでしょうか。仕様原文をみても
The meter element represents a scalar measurement within a known range, or a fractional value
としかありません。 - p.134でoutput要素にname属性でcalcedという名前を与えていますが、これはcalculatedの省略形でしょうか?一般的な省略形かどうか、ちょっとわからなかったもので。
- p.152以降で作成するサンプルページのデザインにつき、2カ所で違和感。ひとつは「商品一覧」わきの三角アイコンの向きで、他のリンクと整合して右向きか、展開状態を表すべく下向きならまだわかるけど、なぜ左向きなのか?そして、フッターの文字の可読性が難あり(石垣の絵の上に完全にかぶっている)。
- p.187「2014年に勧告が予定されており」は、今年2月14日付けのリリース「W3C Confirms May 2011 for HTML5 Last Call, Targets 2014 for HTML5 Standard」に記載されている通り、ですかね。