アクセシビリティという言葉をなくしたい
著
……そういう想いで日々の業務に取り組んでいるつもりだし、そのために今後いつ・何に・誰と・どう取り組んでいくのかを考え続けている、ということを覚え書きしておきたいと思いました。きっかけは、今日の午前中にオブザーバー参加させていただいた、ウェブアクセシビリティ基盤委員会WG1の会議。そこで話し合われた内容にはあえて触れませんが、たまたま自分に発言が振られたときに、どういうわけかそういう話の流れになったんですね。どういうわけかといっても、所詮自分の発した言葉であって、自分なりの文脈はあったわけだけれど。
無論、なくしたいといっても、そう簡単になくせるものではない、というのは百も承知。言葉をなくすというのは、言わば表層的な意味でのゴールというか、メタファーなのであって、本質的にはその位置づけを常識にする(=何ら特別ではない「当たり前のこと」であるからして、わざわざ「アクセシビリティ」なんていうラベルを持ち出してまで論ずる必要をなくす)ことが目的。
同様の取り組みについては、ちっぽけながらも自分には成功体験があって、それは「Web標準」という言葉。かつてはその言葉を冠した部門を必要とするぐらい、Web標準に準拠したサイト構築なりページ製作は、社内で一般的ではありませんでした。今年になってようやく同部門を「発展的解散」させたのだけど、同僚の皆さんの活躍は言わずもがな、業界的な後押し(ブラウザベンダーの変化や、鷹野さんが今なお継続されているCSS Niteはその最たるものと思っています)のおかげで、「Web標準」なる言葉をなくすゴールに一歩近づけたかなと。まぁ、それはあくまでも勤務先という比較的小さな世界のなかでの話であって、業界全体とか世界的にはどうよと言われると、正直すみませんという感じですが(それゆえの「ちっぽけながらも」)。
話を元に戻して、アクセシビリティ。自分がいま考えているのは、Webページの品質基準として明確にこれを据えたい、ということ。既に勤務先の社内ではそうしつつあるのですが、納品するWebページが満たすべき品質として、何よりもまず先にアクセシビリティを持ってこよう、と。アクセシブルでないWebページはWebページにあらず、というぐらいの勢いで。それをいずれは業界全体に広げていきたいし、結果としてそれが業界にとって成熟の証となれば個人的には嬉しい。そのために今の自分にできることは何か。地味かつ地道に、取り組んでいきたいと思います。