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宇宙飛行士の育て方

林公代(@payapima)さんの著書『宇宙飛行士の育て方』を少し前に読了。林さんといえば三菱電機DSPACEの連載をはじめ、宇宙開発関連の記事や書籍を多く書かれています。個人的には『宇宙の歩き方』で取材をお受けしたのを機に懇意にしていただいていて、今年4月にはKSC Visitor Complexの売店でお会いしたり、最近ではTwitterを介して時折やりとりさせていただいています。宇宙飛行士を題材とした新しい書籍を書いているというのは、以前(KSCでよりも前に)お会いしたときに伺っていたのですが、ついに出版されたということで、おめでとうございます&お疲れ様でした。

本書は職業的宇宙飛行士を目指す人が宇宙飛行士候補者として選ばれ、訓練を受け、実際に宇宙でのミッションを遂行するまでの過程を、求められる職能を中心に事細かに記したもの。日本人宇宙飛行士、あるいはその選抜に比重が置かれてはいるものの、NASAやロシアの宇宙飛行士についての話も幅広く扱われていて、さすがは林さん!という感じ。宇宙飛行士を目指そうという人にとって必読の書であることは間違いありませんが、本書を読み終えた印象としてはビジネスマン、特にグローバルな企業に勤めるビジネスマンにとっても参考になる一冊に仕上がっている、と思いました(実際、林さんは宇宙飛行士をp.3でスーパービジネスマンと喩えています)。

というのも、さまざまな国や地域から集められた人々とうまく協調しながら、タイトなスケジュールのなか一定の柔軟性をもって仕事に臨むためのスキルセットは、まさに宇宙飛行士にもグローバル企業の社員にも共通して求められるものだと思うからです。仮に人材の国際的流動性の高まりが不可逆変化であるならば、ISSというのは実は将来を先取りした職場環境とも言えるわけで、そこで個々人に求められるスキルというのは、きっとこれからの社会を生き抜くうえで(宇宙にまで出て行かずとも)少なからず必要になるのではないか?とも思います。たとえ職場に「今は」そういうグローバル性がなくとも、参考になる部分はきっとあると思います……チームビルディングであるとか、ストレスマネジメントに関するくだりについては特に。そういう意味では、宇宙飛行士を目指していない人にはあまり関係が無い、と受け取られそうなタイトルがちょっと勿体ないような気もします。

妄想したのは、宇宙飛行士として選ばれた人間が、訓練を通じてリーダーシップやフォロワーシップ、あるいは双方で求められるコミュニケーションスキルやマネジメントスキルを徹底的に叩き込まれるのなら、そうした能力を既に身に付けたビジネスマンこそ、宇宙飛行士選抜に有利な時代がいずれ来るのではないか?ということ。まったくの異業種からのチャレンジであっても、そういう切り口からチャンスを広げていくことは荒唐無稽な話ではないよなぁ……と思ってみたり(謎

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