40歳の教科書
著
いつ読み終えた本だったか、これっぽっちも覚えていないのですけど覚え書き。『40歳の教科書』は、かつて朝日新聞(東京本社版夕刊)紙上にて連載された特集記事を大幅に加筆修正する形で誕生した一冊
。題名からすると、40歳を迎えた人間がこれから何を成すべきかを説いているように思われるかもしれないけれど、その予想はまったくの見当違い。本書が扱っているテーマは子育てや教育であり、とりわけ以下の4つのテーマについて、14名の方々がそれぞれに想いを語っているという本です:
英語はいつから学び始めるべきか?
中高一貫校は幸せへのプラチナチケットか?
「お金」と「仕事」をどう教えるか?
挫折や失敗をした子どもにどう接するか?
僕はまだ40歳を迎えていませんが、一児の親としてこれらのテーマはいずれも興味深いと思ったし、成毛眞やデーブ・スペクター、西原理恵子、工藤公康といった著名人の教育観が伺い知れる(しかもエッセイ式で読みやすい)のが面白そうだったので、買ってみました。各人の話はそれぞれに興味深かったのですが、冒頭の「開講の辞」にある
ただ問題なのは、多くの親が仮説を仮説のままにして通りすぎていってしまうことである。
仮説とは本来、「検証」という作業とセットになっている。仮説があって検証があるからこそ「証明」ができるのだ。
ところが、自ら選んだ仮説をしっかり検証する親は、意外と少ない。
というのは、重要な指摘だなと思いました。たとえば親というのは大抵、自分自身の成功/失敗体験を踏まえたうえで、子どもにとって良かれと思う選択をするものと思います。しかし、自身が子どもだった頃と「いま」とでは学校も社会全体も大きく変貌しているわけで、実体験に基づく施策なり教育がどこまで有効かは、正直微妙だと思うのです。まったく当てにならない、ということも無いのでしょうが、当てになるかどうかの「検証」無く子どもに強要することは避けるべきかなと。もっとも、その「検証」も厳密にやろうと思うと非常に困難に感じますが、子どもの一生を左右しかねないような局面であれば尚更、「検証」に取り組まなければならない……自戒を込めて。