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宇宙主夫日記

来月いよいよ宇宙に飛び立つ山崎直子宇宙飛行士(@Astro_Naoko)のご主人、大地さん(@Taichi_Yamazaki)の著書『宇宙主夫日記 妻と娘と夢を追いかけて!』を読了。ちょうど1週間前の日曜日に、映画館で上映を待つ2時間半ほどのあいだに読み終えていました。直子さんと結婚してからの生活を中心に、生い立ちを含めいわば大地さんの半生記(と呼ぶにはまだ早いかもだけど)のような内容となっています。宇宙飛行士を家族に持つという(少なくとも日本国内においては)希少な立場から、それゆえの苦慮・苦労を実に赤裸々につづられている点で、貴重な一冊と言えるでしょう。なにしろ、直子さんとのラブラブっぷりから読んでいるこちらが赤面してしまうのは第1章までで、それ以後は読み進めるのがかなり辛く感じるイベントが続くのです。「はじめに」の次の一節が、それを端的に表現しているので引用しておきます:

「じゃあ、結婚式は宇宙から帰還したらすぐにやろう。フロリダのケネディ宇宙センターのスペースシャトルの滑走路の上で。赤じゅうたんを敷いてタキシードを着て待っているから、ウェディングドレスでスペースシャトルから降りてきてください」と。
そしてそんな夢を語ったあの日から10年。いろいろなことがあった。結婚、育児、両親の介護、父との死別、妻の長期海外出張、海外赴任、退職、転居、別居、孤独、うつ病、自殺未遂、離婚調停……。そして、どん底からの復活。

そう、最終的には「復活」されましたし、Twitter上でもお元気そうなつぶやきを目にすることができますが、上記のくだりに並ぶさまざまなキーワードが示す通り、人一倍(いやもっとか)のご苦労を経験されてきたうえで「今」があると知ると、たとえご本人にとっては何気ないつぶやきであったとしても、どことなく感銘を受けます。本書を通じ、過去のご苦労を読み知ってしまうと、かつて(2005年6月のことです)つくばまで押し掛け大地さんとお会いした日のことを思い出しては申し訳なく思う次第です。そしてまた、来月の打上げにご招待してくださったその懐の深さに、感謝することしきり。僕としては、直子さんがSTS-131ミッションを無事に終えられ、ご家族そろって安息の日々を迎えられることを願って止みません。もちろん、ひとつの夢の終わりは別の夢の始まりでもあり、また次の目標に向けてそれぞれに(そして家族一丸ともなって)進むことになるのでしょうけれど。

余談になりますが本書を読んで二点、大地さんに非常に共感を覚えたくだりがあります。一つは高校時代のエピソードとしてp.15で紹介されている、「NASAで働きたい(掃除のおじさんでも可)」という夢。かつては僕も似たようなことを考えていて、トイレ掃除でもいいから種子島宇宙センターに働き口をみつければ、都度ロケットの打上げが生で見れるゾ!と思っていたものでした。そして二点目は、p.98で自殺を思いとどまったときに思い出した大地さんのお母様の言葉「命は大切に。親より先に死ぬのが一番の親不孝なのよ。」。これはまさに僕の両親もよく口にし、僕の骨の髄まで染み込んでいる言葉。大地さんや僕の両親の世代が、子育てに勤しんでいた時代に流行ったフレーズかもしれないし、そうではないかもしれないけれど、とにかく親の死に水を取ることが親の恩に報いることでもあると信じているし、また僕の息子にもそう教えていきたいと思っています。

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