王立宇宙軍 オネアミスの翼

2010年2月13日 著

廉価版（「EMOTION the Best」シリーズ）としてDVDが発売されていたのは随分前から知っていたものの、ようやく最近になって手に入れた「王立宇宙軍 オネアミスの翼」。実に久しぶりに最初から最後まで通しで見ました！改めて思うのは、20年以上前に劇場公開されたアニメとはとても思えない、ということ。その間、確かに映像表現の面でいろいろ進化はしてるとは思うし、実際エヴァの劇場版なんかを見ればそういう面に目が行きがちになったりもするけど、いま見てもなお素直に引き込まれる世界観が映像からひしひしと感じられる。それって凄いことだと思うし、ゆえに僕のなかではこれからも色褪せることのない名作であり続けるのだろうな、と。

見終わったあと王立宇宙軍 オネアミスの翼 - Wikipediaを読み、いろいろ発見することができて面白かったです。たとえば主要スタッフはNASAにロケハンに行っているというくだり。なるほど、だからこそあれだけ現実世界と違和感のない宇宙開発現場を描けたわけですな。そして極めつけは堀江貴文（ライブドア元社長）は本作の熱心なファンとして知られ、一時はライブドアが続編製作に出資するという話もあったというくだり。なんてこった！まぁ続編が作られたら作られたで見るのだろうけど、個人的には本作で完結していること自体に一種の潔さを感じていたので、作られなくて良かったかと。シロツグとリイクニの恋仲がどうなるのかはおろか、シロツグが無事に地球に帰還できたかすらわからないうちに物語が幕を閉じる、それって凄く良い判断だったと思うのです。そういえば、二人が作品中で交わす最後の言葉「行ってきます」「行ってらっしゃい」……あのやりとりもとても潔くて好きなんだな。打上げが失敗し、もう二度と会えなくなるかもしれないのに、普段と何ら変わらぬ挨拶で別れる二人。ありきたりの挨拶しか「できなかった」のが実情にせよ、切なくも清々しくて好きなシーンです。

この映画で残念なのは、着替え中のリイクニにシロツグが襲いかかるシーンがあることぐらいかな。アレが無ければ、何の不安や懸念もなく息子と一緒に見て楽しめる作品だったハズなんですが……。もっとも、シロツグの行いは結局のところ不発に終わるのだし、それほど過激な描写があるわけではないけれども。様々な性的暴行の嫌疑があるとされる森本レオがシロツグの声を担当しているのは、いったい何の因果だろう？と感じざるを得ません。