大人げない大人になれ!
著
2010年最初に読了したのは成毛眞著『大人げない大人になれ!』。人は誰しもそれぞれに「大人げなさ」を有しているけれど、成長するにつれそれを失い、あるいは失わないまでも表に出さないようにする人が少なくない。しかし日本経済のみならず社会全体において不確実性がより顕著になりつつある昨今においては、大人げなさこそ独自性・創造性を生むと考える著者による、いわば「大人げなさのススメ」。Chapter 1〜2に登場するマイクロソフト在勤時のエピソード、とりわけビル・ゲイツ氏とのやり取りは非常に興味深いのですが、Chapter 3〜4が本書の肝というか、最も面白く読ませていただきました。実は、冒頭で掲載されている成毛氏の「模型部屋」の写真に惹かれて衝動買いしたようなものなのだけど、予想以上にさまざまな気づき、考えるきっかけを得ることができて、お買い得だったと思います。Chapter 4「大人げなく楽しく生きる方法 実践編」より気になったフレーズをいくつか以下に覚え書き:
私が趣味に対し投資を惜しまないのは、やはりこれらに没頭している時間が、人生で最も重要であると認識しているからだ。
ビジネスの世界に身を投じるのであれば、どこで自分を活かすことができるか、どういったところで最も面白く働けそうかを常に考えなければならない。
自分が好きで、本当にその価値がわかるものにはいくらでもお金を注ぐべきだし、わからないものは、一番安いもので済ますくらいの極端さが必要である。
年末に第九の演奏を聴きながら一年を振り返ったときに感じる達成感、充実度が年を追うごとに減ってきているように感じられるなかで、自分にとっての豊かさとは何かを改めて考え直し、そのうえで豊かさをしっかり追い求めることの必要性を感じています。本書を読み、その豊かさを考え追求する過程において、僕ならではの「大人げなさ」を発掘しなければならないように思いました。「大人げなさ」の獲得(いや復元だろうか?)なくして、環境がより複雑かつ急速に変化して行くであろうこれからの時代において豊かさを実感し続けるのは困難ではないか、と。また著者曰く年をとるにつれて、顕著になる特徴は、保守的、悲観的、独善的の三つ
だそうです。既に自分にもその傾向が認められるわけですが、その変化なり進行をある程度緩和させるためにも、大人げなさが必要かもしれません……。