20代から始めるお金の設計
著
お世話になっている家計の見直し相談センターの代表取締役、藤川太氏の書かれた『20代から始めるお金の設計』という文庫本を読了。題名から20代の人が対象読者であることは自明なのですけど、どうせ当たらないだろうぐらいの軽い気持ちでプレゼント企画に応募したところ、あっさり当選してしまったという。既に30代も半ばではありますが、わけなく読み終えられる文字量だったので、何かしら得るものがあればと思い読んでみました。
全体を通じて感じたのは、「お金の」というより「人生の」設計を論じている印象が強いな、ということです。お金についてもそれなりに触れてはいますし、そもそもお金と人生って実は不可分なところが少なからずあるとは思うのですけど、藤川氏ご自身がいかにしてファイナンシャル・プランナーを目指したかを語った序章からして、その方向性を強く感じます。序章の冒頭にある見出しには「お金を考えるとは、仕事を考えるということ」とありました。仕事を考える、働き方を考えるというのはつまり人生設計そのものでもあるわけで、その文脈に異論はないのですけど、(タイトルだけをみて)お金を増やしたり節約するためのノウハウ本であるかの誤解をされないかなぁと微妙に不安。本書がカバーしているのは、人生設計を中心としたお金周りの概論ではあっても、各論ではないかな、と思います。ゆえに僕が得るものも実はあまり無かったのですけど、そうした情報を欲する向きには、個々の専門書に当たるべしということなのでしょうね(所詮、文庫本ですし)。
個人的には慶應の大学院を出て自動車会社の研究職に就いていたという藤川氏の経歴に非常に興味を惹かれましたね。そんな氏がなぜファイナンシャル・プランナーという仕事を選択し、起業に至ったかは本書をお読みいただければ分ることですが……業務であれ何であれ、取り組む対象をがらりと転向したという点は僕も同じであり(大学では機械工学を専攻しながら今の仕事はWebサイト構築)、なんとなく一方的に親しみがわきました。