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取締役の教科書

柳楽仁史著『ビジネススクールでは学べない 取締役の教科書』読了。最近読んだビジネス書のなかでは、最も興味深く拝読した一冊。というのもこの本、まさに僕のような人間を対象読者として書かれたものだから。まえがきから引用:

取締役になると、社員とはまったく異なる視点、スタンスが求められる。ところが現実には、事前に訓練、教育を受けないまま取締役になってしまうケースが多い。

いやまったく、自分の場合はその通り。善管注意義務とか忠実義務とか、必要最小限と思しき事柄については学びましたけども、組織論や法律論の延長上にとどまらない、著者のこれまでの経験を踏まえたアドバイスが多く記されているのが、本書のウリかと。第5章「こんなとき、取締役はどうすべきか?」と第6章「トップと取締役の人間関係学」については特に、楽しく読ませていただきました。肝に命じなければと思ったのは、第4章の以下のくだり:

取締役は何があってもトップを立てておくことだ。そのほうが自分にとってもメリットが大きい。もちろん相互牽制は必要だが、それは別の話だ。部下の前では組織統制のために、トップの威厳を光らせることが大切だ。

まぁ、別の話とはいえ、相互牽制とどう両立させるかは課題だし、単純にそれが困難に感じてしまう時期や状況もあるにせよ。ちなみにp.116で「バランスド・スコアカード(BBC)」とあるのですが、このBBCは明らかにBSCの誤記かと。もっとも、僕自身は「バランス・スコアカード」という言葉を用いることが多いです(Wikipediaには「バランスト・スコアカード」として掲載されている)。もう1カ所、p.136で「雲の子を散らすように」とありましたが、この「雲」は「蜘蛛」の誤記ですね。

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