テレビに出る、ということ
著
もうすぐ今年の鳥人間コンテスト(以下「鳥コン」)がテレビで放映されますが(15日の夜7時です、お忘れなく!)、痛いニュース(ノ∀`):「日テレふざけるなああぁ!」 『高校生クイズ』の編集に出演者怒り爆発ってのを読んで、なんとなく鳥コン出場経験者的に思ったことなど。結論から言ってしまえば、そんなに激昂するほどのことでもないけれど、しかし怒りたくなる気持ちは分からないでもない、という。
鳥コンを彦根の松原水泳場で実際に観戦したことがなく、あくまでもテレビやDVDなどでしか見たことがない人にとっては、それを通じて目にし、耳にするすべてが事実だと思うわけでしょう。もちろんそれは正しいし、何も捏造した飛行の様子が映像化されているわけでもないのだけれど、事実の見せ方次第では文脈をいかようにも変えることができ、つまり番組を制作する側はそれによって見る側の印象を制御すること、極論するなら受け取られ方を180度変えることだって可能だ、ということ。
分かりやすい例として、鳥コンの番組内では実際の大会の進行順・飛行順に飛行機が飛んでいるわけではありません。つまり番組が盛り上げるような構成・筋書きを描くべく、登場するチームの順番を変えることが可能だし、実際そうしているわけです(近年は真面目に検証していないけど、一時期は本当に凄かった)。またその筋書き上、あまり必要とされない飛行シーンについては、ダイジェストとしてBGMと共に短時間でアッサリ流してしまうのは、毎年恒例であります(流される側の立場からすると酷な状況だけれど、番組の時間枠という制約もあって、致し方ない)。
件の高校生クイズの出場者は実際の展開をねじ曲げられている
と主張しているそうですが、上に挙げたような鳥コン番組での「編集の妙」にしたって、実際の展開をねじ曲げられている
と憤慨する人は少なくないかもしれない。とはいえ、その「編集の妙」はテレビ局が視聴率を稼ぐうえで必要な一種のテクニックなのだろうし、実際の飛行順に従って番組を構成するなどということを視聴者に誓約しているわけでも何でも無いのだから。それに、先にも書いたように捏造したものを見せているわけではないしね(そう感じるかどうかというのは、程度の問題としてあるけれど)。
鳥コンにしろ高校生クイズにしろ、世の一般参加型テレビ番組は皆そうかもしれませんが、とにかくそれに出演する人は、そうした「編集の妙」によってあらかじめ想定したのとは異なる文脈のなかで自身の映像が使われる可能性やリスクを、十分認識のうえ収録に臨むと良いのではないかと思います。かくいう自分は、初めて出場した鳥コンの番組放映時にたいへん苦い思いを味わいましたが。