スカイ・クロラ The Sky Crawlers
著
前売り券を買ったまま、なかなか見に行けなかった映画「スカイ・クロラ The Sky Crawlers」を、昨日会社帰りに新宿バルト9で見て来ました。公開初日に足を運んだものの、見たかった回が満席で残念な思いをしていた映画です。既に公開から少し日が経っているし、平日のしかも21時20分〜23時30分という遅い回ならさすがに混んでいないだろう、と思ったら狙い通りでした。それでも、自分が予想していたよりは観客の数は多かったかな。時期的に、ちょうどお盆休みに入る人が多いであろうことの影響もあったかもしれません。
僕は小説を事前に読まずにこの映画を見たわけですが、見終えてまず真っ先に、重苦しい何かを感じました。切なさというか……もしくは救いが無い、というか。唐突ながら、僕が主人公の生き様に西遊記の(の一部)を重ね合わせて割としっくりしたのは、一種の諦観を共通項に見出したからなんですよね。結局のところ現世でどう生きようと、何かもっと大きな流れのなかでの些事に過ぎないのと、孫悟空がどれほど遠くまで飛んだと思い込んだところで、それが釈迦の手のひらの上での出来事に過ぎないのと。悲劇的、というわけでもないはずですが、それにしては救いが無さ過ぎるんだよなぁ……なんなんだろう、この感覚は。空中戦のシーンや音声は好きだけどね、だけど以下のようなことを悶々と考えさせられる展開は、ちょっと辛かったです。
- 何も変わらない日常のなかで、何かを変えたいと願いつつも、それが死と引き換えにしか手に入らない変化なら、変えないままに生き続けるほうが幸せなのか?
- 仮に運命というものが存在したとして、それに逆らうことは無価値か?
- 受動的に生きることと能動的に生きることは等価か?
- 生きることと死ぬことは等価か?
- そうした価値観は、老いることの無いキルドレと、生身の人間とでは違うものなのか?
監督は若者に見て欲しくてこの映画を作ったって読んだけど、案外「諸刃の剣」なんじゃないかな。極端に受け取り方を二分するなら「生」を渇望するか、しないかであって、後者のほうに落ち込んでしまうと危険だなぁと。いや、どう危険かはよくわかりませんが。とにかくスレスレ(謎)な感じがしました。