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会社の品格

小笹芳央著「会社の品格」を読了。「○○の品格」という一時期流行したタイトルの書籍はもう買わないのではと思っていたけど、書店で少し立ち読みしたら参考になりそうだったので。買ってから気づいたのですが、著者の小笹氏ってあのリンクアンドモチベーションを立ち上げた御方、だったんですね。第一章の「今、会社の品格が厳しく問われている」では、昨今に報道された企業の不祥事にも言及しつつ、会社の品格を問うことの意義を説いています。以後第二〜五章にかけては組織、上司、仕事、処遇という4つのカテゴリそれぞれに求められる品格を解説、そして第六章では総括的に品格ある会社を育てるために「経営者の品格、社員の品格」が語られています。

気になったポイントの第一としては、第三章にまとめられていた「品格のある上司」の必須条件。専門性、人間性、返報性、一貫性、厳格性の5つが「上司の影響力の源泉」としてまとめられていました。専門性については、まぁ頑張れば短期的な向上なり改善も十分可能ですけど、他の4つはいずれも過去の人生なり経験に大いに依存しているように感じられ、その部分をてこ入れするのは一筋縄ではいかなそう。厳格性については、当然メンバーに対してだけでなく自分にも厳しく、とあるのですけど、自分にはどうしたって甘くなってしまうんだよなぁ……そこが「品格のある上司」を目指すうえで個人的な最優先課題のように思います。

第二に、第四章で登場した「使命感」のある仕事−“命”を“使”う価値を伝えているかというフレーズ。「使命」とか「使命感」という言葉、自分のなかで軽く受け止めていた節があったけど、文字通りに解釈するなら、命を使うという実に重みのある言葉なんですよね。自分もそうだし、会社に勤める誰もがそうだけど、職場で目の前の仕事に命を使っていることの価値が実感できるかどうかは極めて重要なこと。注ぎ込んだ時間を貨幣価値と単純に交換するのみならず、より全体的かつ社会的な文脈として捉えたときに、その仕事に真価を認められるか?という。仕事は「機能分化」と「階層分化」によって生まれる、と説明されていますが、社内にあるそれぞれの立ち位置で、それぞれに先の価値を実感できるような、組織の全体設計と個別設計の双方が欠かせないですね。それはそれで、未熟者の自分には「言うは易く行うは難い」のですけど。

そして第五章の「処遇の品格」では、年功序列に基づく賃金体系を「後払いシステム」と表現していたのですけど、それについて書かれている内容を読んだのが、ちょうど時期的に泥のように働く云々を巡る議論や言及をWeb上で目にしたのと重なって、面白かったかな。入社して最初の10年は泥のように働いてもらい、次の10年は徹底的に勉強してもらうと発言したらしい御方の真意はわからないけれど、その発言の裏にはやはり終身雇用制に依拠した思想が少なからず感じられたわけで、そういう制度に対する感じ方の部分で世代間におけるギャップが例の討論会で表面化していたのかな?とか。

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