軌道離脱
著
宇宙にいつ、どうやって行くのかってことについての考えを改め始めている今日この頃ですが、そういえばジョン J.ナンス著「軌道離脱」について覚え書きしていませんでした。昨年11月の海外出張時に読み終えていたものです。もっとも、この本の存在を知ったのはずっと昔のことで、軌道離脱。 - yosuke の日記にてまあ、いいから読め。すぐに。
とあったのを目にしたのがきっかけ。その時点でAmazonのウィッシュリストに登録はしていたのだけど、実際に入手してさらに読むまでには結局半年以上も間を空けてしまったんだなぁ。しかも読書といえば技術書か自己啓発や勉強法の類の本が非常に多かったので、小説の楽しみ方みたいのを半分忘れしまっていたっぽいのがショックだったような……以下ネタばれ含みますので、これから本書を読んでみようという方は、ここで読むのを止めてください(謎
感動こそしなかったけれど、読み終えてみて、やっぱり面白かったです。何より、物語に登場する宇宙機がSpaceShipOneの採用したのと同じ考え方に基づいて宇宙に到達するデザインで、とてもリアリティを感じます。残念ながらそのリアリティは、物語の後半で主人公が超人的な能力(船外活動による宇宙機の修理然り、大気圏突入後の手動操縦然り)を発揮するあたりでやや薄れてしまったのですが。いくら命懸けの状況があったとはいえ、製薬会社のいち会社員に、そこまでの能力を発揮できるだけのバックグラウンドは無いだろう、みたいな?とはいえ、物語が始まってかなり早い段階で同乗の操縦士を失い、宇宙機にただ一人取り残されるという危機的状況が「完成」する展開は、個人的にはスピーディで良かったです。きっと主人公は地球に生きて帰ることになるだろうと期待をしつつ、でもどうやって?という疑問を抱いたまま、以後の展開をどきどきしながら読み進めることができました。ちなみに本書を買ったときに付いていた帯には大型映画化決定!
とあったけど、その後どうなっているのかな。訳者あとがきによれば映画化権を取得したのはフォックスだそうだけど、関連する情報が見当たらないのは探し方が悪いのか。Orbit at Hollywood.comを見ても全然情報が載っていないw
ちなみに本書を読んだところで、僕の宇宙に行きたい気持ちに変わりはありません。生死に関わるリスクを負うなんてことは承知のうえで申し込んでいますし、仮に不運に見舞われたところで、それが(無駄死にに終わることなく)搭乗した宇宙機が現在の航空機並みの安全性を確保するうえで避けて通れぬ道とあらば、甘んじて受け入れようとも思っています。がしかし、自分の乗る宇宙機が真に命を預けるに足るデザインかどうかは自分なりにしっかり検証したうえで乗りたいとも思います。さて、同じ宇宙弾道飛行とはいえ、どの会社の宇宙機が自分にはフィットするだろう……Space Adventures?Virgin Galactic?それとも??